ベトナム北部ハイフォン省のドンバイフェリーターミナルで、4月30日の連休初日、カットバー島へ向かう数千台の車両が早朝から午後にかけて大渋滞に見舞われました。この予期せぬ交通集中により、フェリーの運航が混乱し、多くの旅行者が長時間足止めされる事態が発生。VnExpressが報じたところによると、当局は一部車両の乗船を一時的に制限するなどの対策を講じました。
連休初日の大混乱、1.5km超の車両列
4月30日、30/4-1/5連休の初日、本土とカットバー島を結ぶドンバイフェリーターミナルへ向かう道路は、数千台のオートバイや自動車で溢れかえりました。フェリー管理事務所は、通常より20分早い午前5時に初便を運航開始しましたが、午前9時にはオートバイの利用が急増したため、料金所のゲートを開放せざるを得ない状況となりました。
各種自動車もフェリーへの乗船を待つ長蛇の列を作り、その長さは1.5キロメートル以上に及びました。旅行客の一人、ファム・ミン・ヒエウさん(25歳)は、チケット購入のために車両を1キロ近く離れた場所に停めなければならず、友人グループと共に1時間以上待ったにもかかわらず、まだフェリー待合エリアにすら到達できない状況だったと語っています。
交通規制と代替手段の活用
交通安全の確保と渋滞緩和のため、ハイフォン建設局は、4月25日から5月3日までの期間と、5月9日から9月30日までの週末・祝日の午前9時から午後1時まで、ドンバイフェリーターミナルを通る乗用車やトラック(カットバー島行き)の受け入れを一時的に停止すると発表しました。
この期間中、旅行者はカットバー島へ向かう代替手段として、フーロンケーブルカー、高速船、またはバスを利用することが推奨されています。特にフーロンケーブルカー駅は、この日の午前中だけで約5,000人の乗客を受け入れ、最終的には8,000人に達すると予想されています。ベトナムでは都市部の交通課題に対応するため、公共交通機関の整備が推進されており、ホーチミン市でもハノイ高速道路の拡張など、インフラ投資が加速しています。
旅行者の疲弊とカットバー島の魅力
午前11時、紅バン区に住むブー・イエンさん(26歳)は、幼い子供と一緒にフェリー乗り場へ向かう道で1時間以上足止めされていました。彼女は渋滞を予想して、おもちゃや飲み水を持参していましたが、長時間の日差しの中での待ち時間は多くの観光客を疲弊させました。中には、フェリーに乗船するまで車内で仮眠を取る旅行客の姿も見られました。
手つかずの自然、豊かな生物多様性、そして新しい体験が数多くできるカットバー島は、国内外の旅行者から長期休暇の目的地として常に人気を集めています。しかし、このような人気が集中する時期には、インフラの限界が露呈することが多く、ベトナム全体の観光インフラ整備が課題となっています。
夏の増便計画とインフラ改善への期待
フェリー運営会社は、定員約15台の自動車と数百人の乗客を乗せられる大型フェリー5隻をフル稼働させて観光客を輸送しました。しかし、同日午後3時時点でも、渋滞は依然として解消の兆しを見せていませんでした。
2026年夏(4月から8月末まで)にかけて、ドンバイ〜カイビエン間のフェリー便数は、現在の1日23便から38便へと大幅に増便される予定です。JICA(国際協力機構)の報告書にもあるように、ベトナムでは持続可能で強靭な経済発展の基盤強化のため、運輸交通課題への対応が喫緊の課題とされており、今回の増便はそうした取り組みの一環として期待されます。
今回のカットバー島フェリーの大渋滞は、ベトナムにおける急激な観光需要の増加と、それに対応しきれていないインフラ整備の構造的な課題を浮き彫りにしています。特に連休などのピーク時には、既存の交通網が許容量を超え、大規模な混乱を引き起こすことが常態化しつつあります。美しい自然を持つ観光地へのアクセスは、経済発展と共に増加する国内旅行者のニーズに応える上で、政府が今後も取り組むべき重要な課題です。
このような状況は、カットバー島のような人気観光地でのビジネス展開を考える日系企業にとって、物流や従業員の通勤における不安定要素となり得ます。また、在住日本人にとっても、国内旅行の計画を立てる際に、交通手段や時期の選定を慎重に行う必要があることを示唆しています。公共交通機関の選択肢が増えることはポジティブな変化ですが、自家用車での移動を好む層にとっては、今後も渋滞リスクを考慮した計画が求められるでしょう。


