ベトナムの主要銀行BIDVは、韓国大統領の公式訪問に合わせてハノイで開催された経済フォーラムで、韓国企業との連携を大幅に強化しました。大規模インフラや高級不動産開発、工業団地プロジェクトへの金融ソリューション提供で複数の覚書を締結し、両国の経済協力関係が新たな段階に入ったとVnExpressが報じています。
ハノイでベトナム・韓国経済フォーラム開催
韓国大統領のベトナム公式訪問の一環として開催されたベトナム・韓国経済フォーラムは、両国の重要な外交・経済イベントの一つとなりました。このフォーラムには、BIDV総裁のレ・ゴック・ラム氏をはじめ、サムスン、LG、SK、ロッテ、PVN、EVN、THACO、Sun Groupといったベトナムと韓国の主要企業トップが参加し、両国の「包括的戦略的パートナーシップ」における新たな協力機会について議論が交わされました。特に、ベトナム経済の成長を支える投資環境の整備が焦点となりました。
BIDVと韓国企業との強固な関係
レ・ゴック・ラム総裁は、BIDVが現在、ベトナム国内の1万500社以上のFDI(海外直接投資)企業に包括的な金融サービスを提供しており、そのうち約2,000社が韓国企業であることを強調しました。BIDVは、ハナ銀行が約15%の株式を保有する戦略的株主であるため、韓国からの投資家がベトナムでの投資や生産活動を円滑に進められるよう、強力な関係基盤を築いています。この協力関係は、ベトナムの金融市場における韓国企業の存在感を一層高めるものです。
越境決済と送金サービスで金融連携を強化
さらに、BIDVはベトナム国家銀行から、ベトナムと韓国間のQRコード越境決済サービス決済銀行に指定されています。これにより、両国間の商取引や観光における決済がよりスムーズになり、利便性が向上します。また、BIDVは韓国在住ベトナム人コミュニティへの海外送金サービスも提供しており、両国の金融接続と貿易をさらに促進し、国民と企業の体験を最適化する役割を担っています。これにより、ベトナム在住の日本人ビジネスパーソンにとっても、ベトナムの金融インフラの国際化を実感する機会が増えるでしょう。
大型インフラ・不動産開発での新たな協定
今回のフォーラムでは、BIDVは韓国の3つのパートナーと覚書(MOU)を締結し、インフラと高級不動産分野での包括的な協力基盤を構築しました。具体的には以下の通りです。
- BIDVはハナ銀行およびKIND(韓国海外インフラ・都市開発公社)と協力協定を締結し、ベトナムにおける大規模インフラプロジェクトへの金融ソリューションを提供します。これにより、インフラ分野の発展余地が拡大し、関係者間のパートナーシップが強化されることが期待されます。
- GS Engineering & Constructionとは、ホーチミン市のツートゥイエム地区にある「ツァイト・リバー・ツートゥイエム」プロジェクトへの金融ソリューション提供でMOUを締結しました。これは、ベトナムの高級不動産市場における重要なプロジェクトとなります。
- iMarket Koreaとは、フート省のK-Tech工業団地プロジェクトや、韓国企業のベトナムにおける他のプロジェクトに対する投資コンサルティングおよび金融・銀行サービスの提供に焦点を当てたMOUを締結。これにより、現代的で持続可能な産業インフラの誘致と発展が促進されます。
BIDVの将来展望
フォーラムの傍らで設置されたBIDVのブースには、多くの韓国企業が関心を示し、投資ニーズについて直接協議が行われました。BIDVの代表者は、同行が韓国企業や投資家にとっての金融の支えとなり、ベトナム経済の発展を共に推進し、両国間の貿易・投資協力関係を強化していくことを目指していると述べました。ベトナム経済が持続的な成長を続ける中で、金融機関の役割はますます重要になっています。
今回のBIDVと韓国企業間の連携強化は、ベトナム経済における構造的な変化を反映しています。急速な経済成長を続けるベトナムでは、インフラ整備や都市開発が喫緊の課題であり、大規模な資金調達と専門技術が不可欠です。韓国からの直接投資(FDI)は、長年にわたりベトナム経済の主要な牽引役の一つであり、今回の金融連携は、単なる資金供給に留まらず、韓国の技術やノウハウがベトナムのインフラ・不動産開発に深く組み込まれることを意味します。
在住日本人や日系企業にとって、この動きはベトナムのビジネス環境がさらに国際化し、多様なパートナーシップが形成されていることを示唆します。特に、ホーチミン市のツートゥイエムのような主要都市の高級不動産開発や、フート省のような地方での工業団地開発が進むことは、新たなビジネス機会やサプライチェーンの多様化をもたらす可能性があります。一方で、韓国企業の存在感の拡大は、市場競争の激化にも繋がり得るため、日系企業はベトナム市場での戦略を一層練り上げる必要があるでしょう。


