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カーラシン県マンゴー価格が暴落、1kg60バーツから3バーツに激減

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タイ東北部カーラシン県で、特産マンゴーの価格が記録的な暴落に見舞われ、多くの農家が深刻な損失に直面しています。かつて1kgあたり60バーツ(約300円)で取引されていたマンゴーが、エネルギー危機による輸送コスト高騰と買い手不足により、わずか3バーツ(約15円)にまで激減したと、Khaosodが報じました。

タイ・カーラシン県でマンゴー価格が歴史的暴落

2026年4月24日、カーラシン県のマンゴー農家たちは、収穫期の終わりを静かに迎えていました。今年のマンゴーは、ナムドクマイ種もケオ種も美しく甘く、例年以上に豊作だったにもかかわらず、農家たちは喜ぶどころか、過去10年間で最も低い価格水準に絶望しています。収穫初期には1kgあたり35〜40バーツ(約175〜200円)で売れていたものの、ソンクラーン(タイの旧正月)の頃に発生した燃料不足が状況を一変させました。

マンゴー農家であるパンティサさん(37歳)は、自身が10年以上にわたりマンゴー栽培に携わってきた中で、これほどの価格暴落は初めてだと語っています。当初は1kgあたり30〜60バーツ(約150〜300円)で安定して利益を得ていましたが、燃料不足と輸送の問題が表面化してからは、価格はわずか1kgあたり3〜5バーツ(約15〜25円)にまで下落。多くのマンゴーが畑に放置され、熟して落ちてしまうという悲惨な状況に陥っています。

エネルギー危機が輸送コストを直撃、農家は苦境に

マンゴーの収穫、選別、梱包、そして輸送には、多くの労働力とコストがかかります。日雇い労働者の賃金は1日あたり300〜400バーツ(約1,500〜2,000円)、残業代を含めると1日700バーツ(約3,500円)にもなります。しかし、現在の販売価格ではこれらの費用すら賄えず、農家は甚大な赤字を抱えています。パンティサさんは、マンゴーを加工する余裕もなく、今年は状況を受け入れるしかないと語り、せめて氷を買って暑さをしのぎ、日々の生活費を稼ぐのが精一杯だと、その苦しい胸の内を明かしました。

別の農家であるカムパンさん(69歳)も、昨年のマンゴー販売で約30万バーツ(約150万円)の収入を得ていたため、今年はさらに良い年になると期待していました。しかし、燃料不足によりマンゴーの輸送が滞り、価格は1kgあたり3バーツ(約15円)にまで急落。肥料代さえ回収できるかどうかという状況に、途方に暮れています。

中間業者も苦悩、輸送中の品質劣化も追い打ち

カムペーンペット県からマンゴーを買い付けに来ている中間業者パイリンさんは、燃料価格の高騰が買い取り業務に大きな影響を与えていると説明しました。以前は1回の輸送で6,000バーツ(約3万円)だった燃料費が、今年は1万バーツ(約5万円)にまで跳ね上がっています。さらに、タイの猛暑により、輸送中にマンゴーが腐敗するリスクも高まっています。

パイリンさんは、「昨日、9トン以上のマンゴーを買い付けたが、目的地に着いて選別すると8トン強しか残らなかった。1回の輸送で平均2,000バーツ(約1万円)以上の損失が出ている」と語り、農家だけでなく、中間業者もまた厳しい状況に置かれていることを強調しました。彼女は、政府と関係機関に対し、農家と事業者双方への早急な支援と救済措置を求めています。

政府への支援要請と持続可能な農業への課題

今回のマンゴー価格暴落は、タイの農業が抱える構造的な脆弱性を浮き彫りにしています。小規模農家が多いタイでは、資金力に乏しく、効率的な生産や高付加価値化が難しいという課題があります。また、サプライチェーンの強靭化も進んでおらず、燃料価格のような外部要因に大きく左右されやすいのが現状です。政府は「BCG経済モデル」を推進し、DX・GX農業サプライチェーンの強化を目指していますが、今回の危機は、そうした取り組みの緊急性と重要性を示しています。

今回のカーラシン県におけるマンゴー価格暴落は、タイの農業が抱える構造的課題を浮き彫りにしています。特に、小規模農家が大多数を占めるタイでは、資金力不足から効率化や高付加価値化が進まず、労働生産性が低いという問題が常態化しています。さらに、物流コストの変動に脆弱なサプライチェーンが、今回の燃料価格高騰のような外部要因によって大きな打撃を受ける結果となりました。政府が推進するDX・GX農業サプライチェーン強靭化の取り組みが、いかに喫緊の課題であるかを改めて示唆しています。

在タイ日本人にとっても、このニュースは単なる農業問題に留まりません。市場で安価なマンゴーを見かける機会が増えるかもしれませんが、その背景には農家の深刻な苦悩があることを理解する視点が求められます。また、タイ政府が進める「BCG経済モデル」や持続可能な食料供給に向けた取り組みは、将来的にタイの食料システム全体を変革し、我々の食卓に並ぶ食品の品質や価格にも影響を及ぼす可能性があります。現地の社会情勢を理解することは、タイでの生活をより豊かにする上で欠かせない要素と言えるでしょう。

AsiaPicks 編集部
AsiaPicks 編集部
タイ・ベトナム・インドネシアの最新ビジネスニュースを日本語で毎日配信。現地メディアの一次情報をもとに、日系企業・駐在員の意思決定に役立つニュースを厳選してお届けします。
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