ベトナムの大手不動産開発会社ノバランドの株価は、現在の市場価格が真の価値を反映していないと、創業者のブイ・タイン・ニョン氏が表明しました。同氏は年次総会で株主に対し、経済成長と法的問題の解決、若手経営陣の努力により、同社の株価は改善すると確信していると述べました。VnExpressが報じたところによると、ノバランドはホーチミン市を中心とした主要プロジェクトの完遂と財務再編に注力する方針です。
ノバランド株価の現状と創業者の見解
ノバランド(NVL)創業者のブイ・タイン・ニョン氏は、現在の株価が企業の真の価値と回復の潜在力を正確に反映していないと主張しました。同氏のこの発言は、ホーチミン市の証券取引市場におけるノバランド株が、依然として過小評価されているという認識を示しています。年次総会の終値は1株あたり19,200ドン(約115円)で、前日比2.4%の上昇を記録しました。今年初めから見ると、ノバランドの株価は約44%も上昇し、2023年9月以来の最高値を更新しています。しかし、株価純資産倍率(P/B)が約0.65倍であることから、同社の株価は依然として帳簿上の価値を下回って取引されており、市場がその潜在能力を十分に評価しきれていない状況が浮き彫りになっています。
ホーチミン市中心の主要プロジェクトに注力
ノバランドは、今後の事業計画として、アクアシティ、ノバワールド・ファンティエット、ノバワールド・ホートラムといった主要プロジェクトの完遂と、ホーチミン市中心部のザ・グランド・マンハッタン、ビクトリア・ビレッジ、ザ・パーク・アベニューなどのプロジェクトに全力を注ぐ方針です。2024年の目標としては、2,600戸以上の引き渡し、ホーチミン市中心部のプロジェクトで4,300件以上の土地権利証(レッドブック)の取得、さらに2,100戸以上の新規販売を目指しています。また、2030年までの累積プロジェクト収益は470兆ドン(約2.8兆円)以上に達する見込みで、現在未開発の土地は2,400ヘクタール以上も保有しています。これらの開発は、世界銀行が提唱する「開発の新時代」の精神に則り、経済成長だけでなく、持続可能な人間開発や財政運営、きれいな空気や水へのアクセスといった社会的価値の実現にも貢献することが期待されます。同社は、真のキャッシュフローを生み出すプロジェクトに選択的に注力し、長期的な価値創出を目指します。
財務再編とESG戦略で持続可能な成長へ
ノバランドは、安定した持続可能な運営基盤を構築するため、財務とガバナンスの再編を最優先戦略と位置付けています。PwCの「Emerging Trends in Real Estate® Asia Pacific 2025」が示すように、アジア太平洋地域の不動産市場には前向きな兆候が見られ、ノバランドもこうした市場環境を捉えようとしています。同社はプロジェクトの法的手続きと建設を加速させるとともに、ガバナンス基準を向上させ、ESG(環境・社会・ガバナンス)を開発に統合することで、「グリーン資本」の誘致を強化する方針です。これは、みずほリースやあおぞら銀行の統合報告書にも見られるように、金融機関が持続可能な社会貢献と経済成長を両立させる多様なソリューションを提供する流れと一致します。具体的には、債券の元本を株式に転換する株式発行や、転換権付き融資を実行するための適切な投資家探しを進めています。JETROの調査でも示される通り、企業の責任ある行動と人権デューディリジェンスが国際的に求められる中、ノバランドのESGへの注力は、今後のベトナムにおける企業活動の新たな基準となる可能性を秘めています。
市場の信頼回復と将来の展望
ブイ・タイン・ニョン氏は、顧客や株主へのコミットメントを果たすことは、法的義務だけでなく、企業の信頼と名誉に関わる問題であると強調しました。「市場の信頼は言葉だけでなく、具体的な行動と実績によって回復されなければならない」と述べ、実践を通じた信頼回復の重要性を訴えました。2024年の事業計画では、過去最高の売上高22兆7,150億ドン(約1360億円)を目標とし、税引き後利益は1兆8,520億ドン(約110億円)を見込んでいますが、金利上昇傾向の影響でわずかに0.5%の減少となる見込みです。2025年には配当を行わず、未分配の税引き後利益は事業活動の回復計画に集中して使用されます。これは、熊谷組や野村不動産ホールディングスのような大手企業が統合報告書で示すように、将来予測にはリスクと不確実性が含まれることを認識し、堅実な財務基盤の再構築を目指す姿勢の表れと言えるでしょう。
このニュースは、ベトナムの不動産市場、特にホーチミン市における日系企業や在住者にとって重要な示唆を与えます。ノバランドのような大手デベロッパーが株価の過小評価を訴え、大規模な財務再編と主要プロジェクトへの集中を打ち出す背景には、経済成長を背景とした不動産需要の回復期待と同時に、過去の市場の混乱や債務問題からの脱却を目指す強い意志が見て取れます。特にホーチミン中心部のプロジェクト完遂は、都市インフラの整備と住環境の向上を意味し、今後、駐在員や長期滞在者の居住選択肢にも影響を与える可能性があります。
また、同社がESG(環境・社会・ガバナンス)を統合した開発戦略を掲げ、「グリーン資本」の誘致を目指している点は、国際的な投資基準への適合と持続可能な開発へのコミットメントを示しています。これは、ベトナム経済全体の発展が「きれいな空気や水、手頃なエネルギーへのアクセス」といった持続可能性を重視する方向へ向かっているというワールドバンクの指摘とも合致しており、今後のベトナム不動産投資や企業進出を検討する上で見逃せない構造的な変化と言えるでしょう。


