ホーチミン市は、2026年開業予定のロンタイン国際空港と市内主要拠点を結ぶ13路線のバス運行計画を発表しました。この計画は、建設局がホーチミン市人民委員会に提出したもので、ベトナム南部の交通インフラの強化と経済発展に寄与すると見られています。VnExpressが報じたところによると、既存路線の調整も提案されており、広範な接続網が構築される予定です。
ロンタイン空港接続バス計画の概要
ホーチミン市建設局が提案するこのバス路線網は、ロンタイン空港、長距離バスターミナル、都市中心部、高速道路、国道といった主要な交通ハブを接続することを目的としています。特に、既存のバス路線と比較して、「高品質な空港バス」モデルが採用される予定です。これは、主要な乗換駅のみに停車し、途中での乗降を制限することで移動時間の短縮を図るものです。
車両は9席から80席まで多様なタイプが導入され、特に高速道路を走行する路線では、安全上の理由から立ち乗りが禁止されます。この取り組みは、JICAの国別分析ペーパーが指摘する「交通・都市インフラの整備」というベトナムの経済成長目標と合致しており、公共交通機関の質向上を目指すものです。
13路線の詳細と既存路線の調整
提案されている13路線は以下の通りです。
- サイゴンバスターミナル – ロンタイン
- タンソンニャット空港 – ロンタイン
- ビンズオンバスターミナル – ロンタイン
- ミエンドン新バスターミナル – ロンタイン
- タンソンニャット空港 – トゥーティエム – バリア・ブンタウ
- タンソンニャット空港 – バソン橋 – ロンソン – ロンハイ
- タンソンニャット空港 – チョーロン – フーミー – ダットドー – フオックハイ
- ブンタウバスターミナル – ロンタイン
- 8区バスターミナル – ロンタイン
- バウバンバスターミナル – ロンタイン
- ミエンタイバスターミナル – ロンタイン
- ロンタイン – フオックハイ – ロンハイ
- ロンタイン – フオックブー – ホーチャム
これに加え、国道51号線を運行する既存の4路線(60-3、72-1、72-2B、172)についても、ロンタイン空港への接続を強化するために経路の調整が提案されています。
段階的な導入スケジュール
建設局は、乗客の需要と空港の運用進捗に合わせて、3つの段階でバス路線の導入を進めることを提案しています。
- 第1段階(今年第3四半期から):既存4路線の接続を強化するとともに、2つの空港エクスプレス路線(サイゴンバスターミナル – ロンタイン、タンソンニャット空港 – ロンタイン)を開設し、両空港間の直接移動および乗り換え需要に対応します。
- 第2段階(2027年から):さらに5路線を追加します。これには、ビンズオン省、ミエンドン新バスターミナルからの路線や、タンソンニャット空港とトゥーティエム、ブンタウを結ぶ主要幹線が含まれます。
- 第3段階(2027年第4四半期から):乗客数が安定した後、残りの6路線を完成させ、ネットワーク全体を確立します。
広域連携とロンタイン空港の重要性
これらの路線は省間をまたぐ性質を持つため、実施にはベトナム建設省の意見聴取に加え、ホーチミン市とドンナイ省間の緊密な調整が不可欠です。これにより、交通網の統一性や輸送事業者の選定基準が確立されることになります。過去の「ベトナム国持続可能な総合運輸交通開発戦略策定調査 (VITRANSS 2)」でも指摘されているように、都市交通と地域計画の統一性の欠如は課題であり、今回の計画ではその克服が期待されます。
ロンタイン空港は、約5,000ヘクタールの敷地を誇り、総投資額は約337兆ドン(約2兆円)に上る国家の重点プロジェクトです。第1段階は2026年末の運用開始が予定されており、完成すればベトナムの経済成長を牽引する新たな象徴となるでしょう。現在の主なアクセスはホーチミン – ロンタイン – ザウザイ高速道路や国道1号線、51号線ですが、鉄道やメトロのプロジェクトも2030年以降の完成を目指し準備が進められています。
今回のロンタイン空港へのバス路線計画は、ベトナムが国家の重点プロジェクトとして推進するインフラ整備の一環であり、単なる交通手段の拡充に留まりません。JICAの分析ペーパーが示すように、ベトナムは「社会主義志向型市場経済体制の構築」と「インフラ整備」を経済成長の突破口としており、この計画は、都市と地方、さらには国内と国際を結ぶ交通網の強化を通じて、持続的な経済発展を下支えする構造的意義を持っています。
このバス路線の開設は、ホーチミン市に在住する日本人や日系企業にとって、ロンタイン空港へのアクセス改善という直接的なメリットをもたらします。特に、高品質な空港バスの導入は、出張や物流の効率化だけでなく、空港周辺地域への新たなビジネス機会の創出にも繋がるでしょう。これにより、ベトナム南部地域全体の経済活動が活性化し、日系企業の投資環境にも良い影響を与えることが期待されます。


