ホーチミン市を拠点とする大手小売グループ、サイゴンコープが過去最高の年間売上高目標を設定しました。同社は中東紛争によるコスト高騰にもかかわらず、価格安定と積極的なプロモーションで購買力を支援し、ベトナム経済の成長を牽引する見通しです。この情報は、サイゴンコープのマーケティングディレクター、ホー・ティ・ホン・ダオ氏が4月23日にVnExpressに語ったものです。
ホーチミン市サイゴンコープ、記録的な売上目標を達成へ
サイゴンコープは、2024年の年間売上高目標を35兆ドン(約2100億円)以上に設定しました。これは過去数年間維持されてきた30兆〜32兆ドンを上回る、記録的な高水準となります。この目標達成は、ベトナム国内の消費市場の活況と、同社の戦略的な取り組みが背景にあると見られます。
中東情勢と物価上昇下での価格安定戦略
ホー・ティ・ホン・ダオ氏によると、長期化する中東紛争は、エネルギー、輸送、原材料のコストを押し上げ、多くのサプライヤーが販売価格の調整を継続的に求めているとのことです。このような厳しい経済状況にもかかわらず、サイゴンコープはシステム全体で販売価格を安定させています。さらに、必需品に対するプロモーションを強化することで、消費者の購買力を支援しています。これは、ベトナムの消費者が物価上昇の影響を受けにくいよう、企業が積極的に対策を講じている一例と言えるでしょう。
購買力強化とテト効果:堅調な市場動向
今年に入ってから、サイゴンコープのシステムでは購買力が2桁の伸びを記録しており、第1四半期には前年同期比で約15%の成長を達成しました。これは、年初にベトナムの旧正月「テト」のピークシーズンがあったことも一因です。現在、同社は約300万人の会員顧客を抱え、彼らが売上全体の65%〜70%を占めています。この強固な顧客基盤は、長期的な成長を支える重要な要素となっています。
また、4月30日の祝日には、消費をさらに刺激するため、最大50%割引のプロモーションを実施しました。対象は必需品、生鮮食品、家庭用品、パーソナルケア製品が中心で、特に生鮮食品は地域に応じて週替わりで30%〜40%割引が適用されました。この期間中、在庫量は通常時の約2倍に増やされ、需要に対応しました。
全国展開と環境配慮:持続可能な成長戦略
サイゴンコープは30年間の発展を経て、1996年の1店舗から全国で130以上のスーパーマーケットと約800の販売拠点を持つ大手小売グループへと成長しました。コープマート、コープフード、コープスマイル、コンビニエンスストアなど、多様な店舗モデルを展開し、ホーチミン市、東南部、メコンデルタ、中部地域で広範なネットワークを構築しており、北部への拡大も進めています。
同社は、商品ラインナップの約90%をベトナム製品で構成し、国産品の普及にも貢献しています。さらに、今年中に約100の新規販売拠点を開設し、市場での存在感を高める計画です。また、プラスチック使用量の削減にも積極的に取り組んでおり、プラスチック製のコップや皿をより持続可能な素材に置き換えたり、プライベートブランド製品の包装材を分解性のある袋に切り替えたりするなど、環境に配慮した取り組みを進めています。レジ袋の代替として段ボール箱を提供するなど、顧客が環境に優しい選択をできるよう支援しています。
サイゴンコープの記録的な売上目標は、ベトナム経済が力強い成長を続けていることを示す明確な指標です。特に、中間層の拡大と都市化の進展は、小売市場の活発化に大きく貢献しており、国民の購買力が高まっていることがうかがえます。国際的な物価上昇圧力にもかかわらず、国内消費が堅調に推移している背景には、こうした国内市場の構造的強さがあります。
このような大手小売企業が価格安定とプロモーション強化に注力することは、ベトナム在住の日本人や日系企業にとっても朗報です。生活費の安定に寄与するだけでなく、現地市場の消費者心理や購買行動を理解する上でも重要な情報となります。特に、テトのような祝祭期間における消費の盛り上がりや、環境配慮型の商品展開は、今後のビジネス戦略を考える上で注目すべきトレンドと言えるでしょう。


