ベトナムの主要バス会社が、燃料価格高騰と需要予測の難しさから、フン王命日や4月末の大型連休における増便に慎重な姿勢を見せている。これにより、連休中の移動を予定している市民や観光客は、運賃値上げや便数削減の影響を受ける可能性がある。地元メディアのVnExpressは、多くのバス会社がコスト増に直面し、運行計画を綿密に練り直していると報じた。
燃料高騰が直撃、バス会社はコスト抑制に苦慮
ホーチミン市とブンタウを結ぶバス会社フアマイ(Hoa Mai)のレ・バン・ダオ(Le Van Dao)氏は、3月以降のガソリン・石油価格の急騰により、運行コストが大幅に上昇したと説明しました。同社は既に運賃を一部値上げし、運行便数を30~40%削減。乗車率を上げるため、混雑する時間帯に運行を集中させています。ダオ氏によると、運賃調整後も運営は厳しい状況にあり、連休中の運行計画は慎重に頻度が計算されています。ベトナム経済はコロナ禍からの回復基調にあり、2022年には著しい回復を見せましたが、燃料価格の変動は特に輸送業に大きな影響を与えています。燃料費は総費用の30〜40%を占めるため、価格変動はバス会社の経営を直撃すると言われています。
連休中の増便は限定的、需要予測の難しさも
クムホ・サムコ(Kumho Samco)社のマイ・スアン・チン(Mai Xuan Trinh)氏も同様に、ファンティエット、ブオンマートゥオット、ハティエン、ラックザーなどへの路線を運行していますが、以前のような大幅な増便はせず、市場の動向に沿って対応すると述べています。連休中の運行便数は通常時の約4倍を予定していますが、これは過去のピーク時の60~70%に留まる見込みです。同社は、事前の予測だけでなく、実際の予約状況に基づいて運行台数を調整。運転手の配置も費用と収益のバランスを考慮して再計算しています。また、近年では自家用車やレンタカーの利用が増加傾向にあり、バスターミナルを利用する乗客数が以前ほど急増しなくなっていることも、需要予測を難しくしています。ベトナムの道路交通インフラは効率性向上が課題とされており、一部では過積載の道路や未整備区間も存在しますが、個人車両の増加はその背景にある公共交通の利便性や料金の問題とも関連していると考えられます。ベトナムの人口は約1億人に迫り、ホーチミン市だけでも1千万人規模の巨大市場ですが、移動手段の多様化が進んでいます。
ホーチミン市の連休輸送計画と運賃動向
ホーチミン市建設局によると、今年のフン王命日と4月30日~5月1日の連休期間中、各省間バスターミナルの利用者数は前年同期比で4~6%増加すると予測されています。特に4月30日~5月1日の連休期間では、1日平均約9万人が利用し、4,700便以上のバスが運行される見込みです。ホーチミン市周辺では、1日約7万9千人が利用し、約3,872便が出発すると推定されています。旧ミエンドンバスターミナル(ビンタイン区)では6日間で6万6千人以上、3,100便以上を、新ミエンドンバスターミナル(トゥードゥック市)では9万7千人、約5千便をそれぞれ対応すると見られています。主に短距離路線を扱うミエンタイバスターミナルでは、25万人以上の利用客を見込んでおり、特に4月29日~30日は1日6万人以上のピークが予想されます。連休中の運賃は、空車の回送費用を補填するため、区間や時期によって最大40%値上げされる可能性があるとされています。しかし、多くのバス会社は燃料費高騰により既に値上げを実施しているため、これ以上の追加調整は行わない方針です。
インフラ課題と政府への要望
バスターミナル側は、運賃の公開と掲示、増便計画の準備、乗客増加時の迅速な対応、交通渋滞発生時の交通整理への協力などをバス会社に求めています。現在、ホーチミン市には2,100以上の固定バス路線があり、97社が2,700台以上のバスを運行しており、これは国内でも有数の規模を誇ります。運行コストの増大に直面している多くのバス会社は、道路使用料や関連サービス料金の減免を提案しており、この内容は現在、関係当局に報告され検討が進められています。ベトナムの道路交通インフラ整備は依然として課題として残されており、このような減免措置がバス業界の持続可能性に寄与するかが注目されます。
ベトナム経済は力強い回復を見せているものの、国際的なエネルギー価格の変動が国内の輸送コストに直接的な影響を与え、公共交通機関の安定供給と価格維持が困難になっているという構造的な課題が浮き彫りになっています。特に道路インフラに依存する地方交通においては、燃料価格の高騰が企業の収益性を圧迫し、結果としてサービス品質や運賃に転嫁されざるを得ない状況にあります。
この状況は、ベトナムに在住する日本人や日系企業にも影響を及ぼす可能性があります。物流コストの上昇は企業のサプライチェーンに影響を与え、従業員の通勤手段や出張計画にも影響が出ることが考えられます。また、大型連休中の国内旅行を計画している場合は、運賃の高騰や便数の削減、それに伴う混雑が予想されるため、早めのチケット手配や代替交通手段の検討が望ましいでしょう。


