ベトナム・ホーチミン市人民裁判所は、漁船沈没事故を巡る裁判で、保険会社に対し約16億ドン(約960万円)の賠償を命じる判決を下した。カマウ省の漁船が嵐で沈没した件で、保険会社は当初保険金支払いを拒否していた。Tuoi Treが報じたところによると、この判決は海上リスクに対する保険の重要性を改めて示している。
漁船沈没と保険金支払いの拒否
この事故は2021年11月、カマウ省(カマウ)の漁船「CM 99799 TS」が公海上で悪天候に見舞われ、沈没したことに端を発する。船には乗組員6人が乗っていたが、全員が救助された。漁船の所有者は、加入していた保険会社へ保険金を請求したが、保険会社は「船が国際水域に入ったため、保険契約の適用範囲外である」と主張し、支払いを拒否した。
裁判所の判断:保険会社の賠償責任
ホーチミン市人民裁判所は、漁船のGPSデータや航海記録などを精査した結果、保険会社の主張を退けた。裁判所は、保険契約には国際水域での操業を除外する明確な条項が存在しないこと、また、船が沈没した地点はベトナムの管轄海域内であると判断。保険会社に対し、漁船の損害に対して約16億ドン(約960万円)の保険金を支払うよう命じた。さらに、保険会社は訴訟費用と遅延損害金も負担することとなる。
ベトナムにおける海上リスクと保険の重要性
ベトナムは長い海岸線と広大な排他的経済水域を持ち、漁業は重要な産業の一つである。しかし、台風や熱帯低気圧などの自然災害に見舞われるリスクが高く、漁船の沈没や損傷といった事故が頻繁に発生している。今回の判決は、漁業従事者にとって、適切な保険に加入することの重要性を改めて浮き彫りにした。また、保険会社に対しては、契約内容の明確化と、災害時の迅速かつ公正な対応が求められることを示唆している。ベトナムの漁業経済を支える上で、こうした法的保護と経済的安定は不可欠である。


