WHAIDがラヨーン県で開発中のスマート工業団地「WHA ESIE 5」に、中国のハイアール・スマートホームがASEAN地域で最大規模となるAIエアコン製造拠点を設立すると発表しました。これはタイにおけるハイアールの3番目の生産拠点となり、2027年6月の稼働開始を目指しており、同国の東部経済回廊(EEC)政策の中核を担う動きとして注目されています。Prachachat.net(プラチャチャート・ネット)が報じたところによると、この工場は世界初のAIセントラルエアコン製造工場となる見込みです。
ラヨーン県に7,000ライのスマート工業団地
タイの主要工業団地開発会社であるWHAID(WHAインダストリアル・ディベロップメント)は、ラヨーン県で「WHAイースタン・シーボード・インダストリアル・エステート5(WHA ESIE 5)」の開発を推進しています。総面積約7,000ライ(約11.2平方キロメートル)に及ぶこの工業団地は、「スマート・エコ・インダストリアル・エステート」のコンセプトに基づき、持続可能な産業発展を目指しています。現在、フェーズ1の開発は80%以上が完了し、将来の投資需要に対応するため、フェーズ2も並行して開発が進められています。
WHA ESIE 5は、タイ政府が推進する「タイランド4.0」政策の目玉事業である東部経済回廊(EEC)エリア内に位置しており、戦略的な立地と充実したインフラが国内外の企業から高い評価を受けています。
ハイアール、ASEAN最大のAIエアコン製造拠点を設立
この度、世界の家電メーカー大手であるハイアール・スマートホームは、WHA ESIE 5にタイで3番目となるAIインテリジェント製造拠点を設立することを決定しました。この新工場は、世界初のAIセントラルエアコン製造工場となり、さらにASEAN地域で最大規模を誇る施設となる予定です。これは、WHAの優れたインフラと、タイ政府によるEECへの強力な支援、そして同国が目指すデータセンターおよびAIエコノミーへの転換に対する投資家の強い信頼を示すものです。
ハイアールは以前にも、チョンブリー県のWHA ESIE 3工業団地に家庭用エアコン工場を開設し、2025年には稼働を開始しています。今回のラヨーン県への拡大は、WHAIDの提供する立地、インフラ、産業エコシステム、そして将来の産業ニーズへの対応力に対する、ハイアールの継続的な評価を反映しています。
最先端技術と持続可能性を追求
ハイアールの新製造拠点は、2026年5月12日に地鎮祭が行われ、2027年6月には稼働を開始する予定です。この工場では、生産ラインの65%以上にAI駆動型の自動化システムが導入され、高効率かつ高品質な製品供給を目指します。また、熱帯気候に特化したHVAC(冷暖房空調)ソリューションの研究開発センターも併設される予定です。
生産された製品は、タイ国内の都市開発、不動産、ホテル、工業団地、インフラ整備による需要増に対応するだけでなく、ASEAN、ヨーロッパ、北米への輸出も視野に入れています。WHA ESIE 5自体も、スマート工場や大規模データセンターに対応できるよう、地下光ファイバー(FTTx)、5Gネットワーク、スマートエネルギー管理システムといった高度なデジタルインフラを整備しています。さらに、太陽光発電や再生水利用システムなど、クリーンエネルギー技術への投資を通じて、資源効率の向上、環境負荷の低減、そして投資家の長期的なコスト削減にも貢献します。しかし、国際競争力の維持には、常に技術革新と人材育成への投資が求められます。
地域経済と産業人材育成への貢献
WHAIDは、WHA ESIE 5を単なる工業団地にとどめず、住宅地や商業施設、質の高い生活環境を備えた統合的な「インダストリアル・タウン」へと発展させる構想を掲げています。デジタル時代の労働環境を整備するとともに、近隣の教育機関(キングモンクット工科大学ノースバンコク校やバーンカーイ技術専門学校など)との連携を強化し、将来の産業ニーズに対応できる有能な人材の育成にも力を入れています。
今回のハイアールのような世界的な企業の進出は、周辺地域に質の高い雇用を創出し、タイの中小企業がサプライチェーンに参入し、国際競争力を高める機会を提供します。これにより、地域経済の持続的な成長が促進されることが期待されます。WHAIDは「WHA SHAPE THE FUTURE FOR THAILAND」の理念のもと、タイおよびASEAN地域の産業能力向上と持続可能な未来の構築に貢献し続けるとしています。一方で、特に、サプライチェーンの混乱やエネルギー価格の変動リスクは依然として存在します。
今回のハイアールのラヨーン県への大規模投資は、タイが「中所得国の罠」からの脱却を目指し、高付加価値産業への転換を加速させている明確な兆候です。特にEEC地域への外資誘致は、日本の製造業や関連サービス業にとって、新たなビジネス機会を創出する可能性を秘めています。進出を検討する日系企業は、AI・スマートテクノロジー分野でのパートナーシップや、高度なデジタルインフラを活用した事業展開を視野に入れるべきでしょう。
タイ政府は「タイランド4.0」政策の下、EECを「産業高度化措置(Smart and Sustainable Industry)」の目玉と位置づけています。今回のハイアールの投資は、この戦略が実際に機能し、世界的なテクノロジー企業を引き付けていることを示していますが、高度な技術を要する産業の発展には、熟練した労働力の確保が不可欠であり、教育機関との連携が成功の鍵を握ると言えるでしょう。


