ベトナムの生命保険市場では、今年1月から4月にかけて新規契約料収入が減少し、低迷が続いています。しかし、その中でテックコムバンク傘下の新興保険会社テックコムライフが市場シェアトップ5に食い込み、注目を集めています。これはベトナム保険協会(IAV)のデータに基づき、VnExpressが報じたものです。
ベトナム生命保険市場、新規契約収入が減少
ベトナムの生命保険市場は、今年1月から4月にかけて新規契約料収入が前年同期比12%減の約6兆6500億ドン(約399億円)となり、引き続き低迷傾向を示しています。市場をリードしているのはバオベト生命で、新規契約料収入は1兆4450億ドン(約86.7億円)でした。これに続き、第一生命(約7000億ドン、約42億円)、AIA(約6600億ドン、約39.6億円)、マニュライフ(約6300億ドン、約37.8億円)が上位を占めています。
テックコムライフがトップ5に躍進
特筆すべきは、新規参入企業であるテックコム生命保険(テックコムライフ)が、わずか設立1年足らずで市場シェアのトップ5に躍り出たことです。テックコムライフは、テックコムバンクが80%出資し、昨年7月に設立されたばかりの企業で、資本金は1兆3000億ドン(約78億円)です。同社はテックコムバンクとビングループという2大株主のエコシステムを活用し、テックコムバンクが生命保険および健康保険の販売代理店を務めています。さらに、テックコムバンクはテックコムライフの増資のため、最大8000億ドン(約48億円)を追加出資する予定です。
新規契約件数と有効契約数の動向
新規契約件数も市場の低迷を反映しており、IAVによると、今年1月から4月までの主要商品の新規契約件数は前年同期比22%減の34万8000件以上となりました。その内訳を見ると、投資連動型保険(一般投資連動型およびユニットリンク型を含む)が新規販売の56%を占め、定期保険が33%、混合保険が6%以上となっています。健康保険、年金保険、終身保険などの残りの商品は、新規契約全体の約4%を占め、前年同期比で70%もの大幅な減少を記録しました。
4月末時点での有効な生命保険契約総数は1110万件を超え、こちらも前年同期比で4.5%減少しています。このうち、一般投資連動型保険が約58%と最も大きな割合を占め、次いで混合保険が約22%となっています。市場全体の生命保険料収入総額は推定43兆4000億ドン(約2兆604億円)で、前年同期比で4%減少しました。ここでも一般投資連動型保険が55%以上を占め、最大の収入源となっています。
保険金支払額は増加傾向
一方で、保険金支払額は増加傾向にあります。今年4月末までに、生命保険会社が支払った保険金は約21兆7380億ドン(約1兆304億円)に達し、前年同期比で20%増加しました。これは、保険契約者へのサービス提供が着実に進んでいることを示しています。
ベトナムの生命保険市場が全体として新規契約収入の減少に直面している中で、テックコムライフのような新興企業がトップグループに食い込む現象は、金融業界におけるデジタル化とエコシステム戦略の重要性を浮き彫りにしています。大手銀行テックコムバンクの強力な顧客基盤とビングループの広範なネットワークを活用することで、従来の保険会社とは異なるアプローチで急速な市場浸透を果たしていると言えるでしょう。
この動きは、在住日本人や日系企業にとっても、ベトナム市場における新たなビジネスチャンスやパートナーシップの可能性を示唆しています。既存の市場構造が変化する中で、ベトナムの消費者のニーズに合わせた革新的な金融商品やサービスが今後さらに登場する可能性があり、市場の動向を注視することが、ベトナム経済で事業を展開する上での重要な視点となります。


