バンコクのドゥラキート・パンディット大学(DPU)は、証券会社フィナンシア・サイラスと提携し、若年層(Gen Z)向けの投資家育成プログラム「DPU X FINANSIA HERO Trade 2 Months & TikTok Challenge」を成功裏に開催しました。この2ヶ月間の模擬取引とTikTokチャレンジを通じて、学生たちは実践的な投資スキルとデジタル金融コミュニケーション能力を習得しました。タイのプラチャチャート・ネットが報じました。
実践的な投資スキルを養う2ヶ月間
ドゥラキート・パンディット大学のイノベーションビジネス・会計学部(CIBA DPU)は、証券会社フィナンシア・サイラス(Finansia Siras PCL)と共同で、2ヶ月間にわたる実践的な投資教育プログラム「DPU X FINANSIA HERO Trade 2 Months & TikTok Challenge」を実施しました。このプログラムは、2026年4月28日にドゥラキート・パンディット大学で開催された閉会式をもって終了しました。金融、投資、フィンテックを専攻する学生たちは、シミュレーションされた環境で現実の市場に近い状況を体験し、投資スキルを磨きました。
このプロジェクトは、学生が投資の仕組み、データ分析、財務計画、リスク管理を体系的に理解することを目的としています。主要な学習ツールとして「フィナンシア・ヒーロー」プラットフォームが活用され、さらにTikTokチャレンジを通じて、複雑な投資情報を若年層に分かりやすく、創造的に伝えるスキルも養成されました。これは、デジタル時代における金融コンテンツ作成能力の重要性を示しています。
将来の金融人材育成への期待
今回のコンテストでは、CIBA DPUの経営学部に在籍するスクサン・ラムセーン氏(Mr. Suksan Ramsaeng)が優勝しました。これは、専攻分野に関わらず、意欲と継続的な学習があれば投資スキルは習得可能であることを証明しました。フィナンシア・サイラスのヌッサラ・ルンチャルーン上級マネージングディレクター(Ms. Nussara Runjaroen)から奨学金と表彰状が授与され、CIBA DPUのナットパット・ヌアマネーティティ副学部長(Dr. Natthapat Nuamaneethiti)と教員、学生たちが祝福しました。
ヌアマネーティティ副学部長は、現代の大学の重要な使命は、教室での学習と現実世界を結びつけることだと述べました。特に金融、投資、フィンテックといった21世紀の若者に不可欠なスキル分野において、この連携は大きな意味を持ちます。フィナンシア・サイラスのような一流証券会社との協力により、学生は実際の投資ツールとシステムを使い、常に変化する市場環境下で思考、分析、意思決定を行う訓練を積むことができました。これは、タイの金融市場が未成熟で投資家が慎重な姿勢を示す中、将来の市場を担う人材育成に不可欠な取り組みと言えるでしょう。
デジタル時代に対応する教育戦略
CIBA DPUの金融・投資・フィンテック学科のアシスタント・プロフェッサーであるピアンジャイ・ポータウォン氏(Asst. Prof. Piarnjai Pothaworn)は、この2ヶ月間の継続的な学習期間が、学生に多様な市場状況(上昇期と変動期)を体験させ、持続可能な投資には知識、一貫性、規律、感情のコントロールが不可欠であることを理解させたと強調しました。タイでは金融経済教育が課題とされており、このような実践的なプログラムは非常に価値があります。
また、TikTokチャレンジを導入したことは、現代の金融専門家に求められる重要なスキルを強化しました。学生は、金融や投資に関する複雑な情報を、正確かつ魅力的に、そして分かりやすく説明する能力を養う必要がありました。デジタルプラットフォームを通じて知識を伝える訓練は、金融、投資、フィンテック分野での実務、さらにはオンラインでの金融教育者としての自己確立にも役立つ、極めて実践的なスキルです。
参加学生の声とプログラムの成果
プログラムに参加したCIBA DPUの金融・投資・フィンテック学科の1年生、ナットポン・オイクラトック氏(Mr. Natthapol Oiykrathok)は、テクニカル分析、ファンダメンタルズ分析、投資決定前の計画立案など、多くの知識を得たと語りました。また、TikTokコンテンツ作成を通じて、難しい情報を同世代の友人に分かりやすく要約する練習も行いました。このプロジェクトは、彼が選んだ専攻に対する自信を深め、「プロの投資家になるためには、知識、努力、そして継続的な訓練から始める必要がある」という現実の姿を理解するきっかけになったと述べています。
「DPU X FINANSIA HERO Trade 2 Months & TikTok Challenge」の成功は、学生の多角的な能力を強化する実践的な学習の場となりました。資本市場の知識、金融テクノロジーの活用、分析的思考、リスク管理、そしてデジタル時代におけるコミュニケーション能力といった多岐にわたるスキルが育成されました。これは、ドゥラキート・パンディット大学が掲げる「Think Real, Do Real, Grow Real(考え、実行し、真に成長する)」という理念と合致し、学生が自身の無限の可能性を発見し、将来のタイ資本市場とデジタル経済の重要な担い手となることを目指しています。
今回のプログラムは、タイにおける若年層の金融リテラシー向上と、デジタル経済を支える人材育成という構造的な課題に直接的に応えるものです。タイではフィンテック市場が未成熟であり、投資家の慎重な姿勢が指摘されています。このような状況下で、大学と証券会社が連携し、実践的な投資教育を提供することは、将来的に健全な資本市場とイノベーションを促進するための基盤を築く上で極めて重要と言えます。
在住日本人や日系企業にとっても、タイの若年層が金融リテラシーを高めることは、将来の消費者市場や労働市場の質の向上に繋がり、ビジネス環境の改善が期待できます。特に、デジタル金融スキルを持つ人材が増えることは、タイ市場でのフィンテック関連ビジネスの発展を加速させ、新たな投資機会や提携の可能性を生み出すでしょう。これは、タイが「資産運用立国」を目指す日本にとっても、長期的な視点での協力関係構築のヒントとなり得ます。


