ホームタイタイ全国で失業率上昇、賃金減少の懸念

タイ全国で失業率上昇、賃金減少の懸念

※画像はイメージです(AI生成)

タイ全国で2026年第1四半期の失業率が上昇し、国民の生活費を賄う収入が不足する懸念が高まっています。労働者の労働時間短縮や賃金減少のリスクが指摘されており、プラチャチャート・ネットが報じました。

2026年第1四半期のタイ労働市場動向

タイ国家経済社会開発庁(NESDC)の報告によると、2026年第1四半期の失業率は0.94%で、失業者数は39万人に達しました。これは前四半期の28万人(0.70%)と比較して9.9%の大幅な増加です。特に、長期失業者は前年同期比で27.0%増の8万7,000人となり、深刻な状況を示しています。

社会保障制度における失業率も前四半期の1.78%から2.00%に上昇し、失業給付の申請者は24万2,000人となりました。さらに、労働時間は減っていないものの所得が減少している「準失業者」の数は440万人に上り、前年同期比3.0%増となっています。

労働市場が直面する3つの主要な懸念事項

NESDCのダヌチャー・ピチャヤナン事務総長は、今後のタイ労働市場において以下の3つの主要な懸念事項を指摘しました。これらの課題は、タイが直面する経済・社会構造の変化と密接に関連しています。

中東情勢がもたらす経済的影響

中東情勢の緊迫化は、タイの輸送、建設、製造、観光といった主要産業に影響を及ぼしています。エネルギー価格の高騰や生産コストの上昇は、企業活動を圧迫する要因です。ダヌチャー氏は、この影響により労働者の解雇は避けられるかもしれないが、労働時間の短縮、特に残業代の減少が懸念されると述べました。

これにより、インフレが進行する中で、多くの労働者の収入が生活費を賄いきれなくなる可能性があり、タイの家計に大きな負担をかけることが予測されます。

潜在的失業者の増加と深刻な所得格差

2024年から2025年にかけて、潜在的失業者(隠れた失業者)の数は22万人と、17.8%増加しました。このうち65%以上が小学校卒業以下の学歴を持ち、主に農業、建設業、製造業に従事しています。彼らの平均月収は6,700バーツ(約33,500円)であり、タイ全体の労働者の平均月収16,000バーツ(約80,000円)と比較して著しく低い水準です。

この差は、タイにおける都市と農村間の根深い所得格差を浮き彫りにしています。ダヌチャー氏は、特に農業従事者に対して、収入を増やすための副業を積極的に探すよう促しています。

EV産業の拡大が労働市場に与える影響

電気自動車(EV)産業の急速な拡大は、タイの自動車産業に大きな変革をもたらしています。しかし、この成長は、既存の内燃機関自動車産業とそのサプライチェーンで働く労働者にとって、雇用の減少という形で影響を及ぼす可能性があります。工場労働者だけでなく、関連産業全体が構造転換を迫られるため、労働者の新産業への適応や移行が喫緊の課題です。

タイ政府は長年、低賃金に依存する経済構造からの転換を目指しており、EV産業の成長は、産業構造の多様化を促す可能性を秘めています。しかし、そのためには、労働者のスキルアップと再教育が不可欠となります。

タイの労働市場は、中東情勢のような外部要因だけでなく、国内の構造的な課題にも直面していることが浮き彫りになります。特に、潜在的失業者の多くが低学歴で農業や建設業に従事している点は、都市と農村の所得格差が依然として大きいというタイの経済的背景を色濃く反映しています。政府は長年、低賃金に依存する経済構造からの脱却を目指してきましたが、今回の報告は依然としてその道のりが遠いことを示唆しています。

在住日本人や日系企業にとって、この労働市場の変化は事業運営や生活コストに直接的な影響を与える可能性があります。例えば、人件費の変動、特定産業における人材の再配置、そしてインフレによる生活費の上昇は、タイでの事業戦略や個人の家計管理において重要な考慮事項となるでしょう。特に、労働時間短縮による所得減少は、消費行動にも影響を及ぼし、経済全体に波及する可能性も視野に入れる必要があります。

AsiaPicks 編集部
AsiaPicks 編集部
タイ・ベトナム・インドネシアの最新ビジネスニュースを日本語で毎日配信。現地メディアの一次情報をもとに、日系企業・駐在員の意思決定に役立つニュースを厳選してお届けします。
RELATED ARTICLES
タイ進出・会社設立・ビザ・会計の相談窓口タイ進出・会社設立・ビザ・会計の相談窓口

Most Popular

Recent Comments