タイのクラフトビールおよび地酒メーカーは、小売価格に基づく酒税計算への変更に強く反対しています。この政策は、すでに高い生産・流通コストに直面する中小事業者にとって、不公平な負担を増やすと警告されており、実施が間近に迫っています。Bangkok Postが報じたところによると、関係団体は政府に対し、この税制改正の再検討を求めています。
タイの酒税改革に地元メーカーが反発
タイのクラフトビール業界団体とタイ地酒協会は、物品税局が提案する小売価格に基づく酒税計算への変更に強く反対を表明しています。この改革案は、現地の中小メーカーに過度な負担を強いると警告されており、アルコール産業の自由化を推進する人民党のタオピポップ・リムジットラコーン議員が、両団体からの陳情を受け取りました。
現行のタイの酒税は、アルコール度数と小売価格の両方に基づいて課税されており、小売価格の22%が課税対象となっています。しかし、提案されている新制度では、小売価格の算定方法が見直され、中小メーカーにとって不利に働く可能性が指摘されています。
中小企業への不公平な影響を懸念
クラフトビール協会およびタイ地酒協会は、小売価格に基づく課税方法が市場の実態を反映していないと主張しています。特に、生産量が少なく、流通コストが高い中小メーカーは、大手メーカーと比較して、相対的に高い小売価格を設定せざるを得ません。この状況で一律に小売価格を基準とすると、中小メーカーの税負担はさらに増加し、競争格差が拡大すると懸念されています。
タイ地酒協会のナッタチャイ・ウエンスリーウォン会長は、「中小メーカーは大手企業のようにコストを削減できないため、小売価格が高くなる。その価格から税金が計算されれば、負担はさらに増すだろう」と述べ、中小企業が持続的に成長できる環境が損なわれる可能性を指摘しました。
産業自由化と透明性の確保
タオピポップ議員は、タイのアルコール産業の自由化がまだ不完全であると強調し、中小の醸造業者や蒸留業者が広告規制、市場アクセス、そして税制によって依然として制約を受けている現状を指摘しました。彼は、税制の公平性が、タイの経済全体における中小企業の成長とイノベーションを促す上で不可欠であると訴えています。
タオピポップ議員はまた、酒税制度をアルコール度数のみに基づく、よりシンプルで透明性の高いシステムにすべきだと繰り返し主張しています。曖昧な価格基準は、不公平な執行や汚職を助長する可能性もあると警告し、エークニティ・ニティタンプラパット副首相兼財務大臣に対し、この政策の見直しと業界団体との協議を求めました。
政府の見解と今後の展望
物品税局は、新たな基準は増税を意図したものではなく、透明性を高め、実際の消費者価格をより適切に反映させるための取り組みであると説明しています。しかし、業界団体側は、この変更が結果として中小メーカーの経営を圧迫し、タイのクラフトビールや地酒市場の多様性を損なうことにつながると反論しています。
タイ政府は「タイランド4.0」や「BCG経済モデル」といった政策を通じて、持続可能で競争力のある経済を目指していますが、今回の酒税改革案は、その目標と中小企業支援の原則との間で、新たな課題を浮き彫りにしています。今後の政府の対応が注目されます。
タイ政府は「タイランド4.0」や「BCG経済モデル」を推進し、イノベーションと持続可能な経済成長を目指していますが、今回の酒税改革案は、その目標と中小企業支援の原則との間で矛盾を生じさせています。既存の税制が大手企業に有利に働き、中小企業の成長を阻害する構造的な課題が存在する中で、今回の改革案が包摂的な経済成長という政府の掲げる目標とどのように調和するのかが問われています。
この税制変更は、タイ在住日本人にとっても影響がないとは言えません。もし中小メーカーが淘汰されれば、これまで楽しんできた地元のクラフトビールや地酒の選択肢が減り、価格が上昇する可能性もあります。また、タイ市場でのビジネス展開を検討する日系企業にとっても、税制の公平性や透明性は重要な投資判断基準となるため、今後の動向は注視すべきでしょう。


