タイ国内で「ランニングでビール無料」を謳うキャンペーンが、アルコール飲料管理法に違反するとして、酒類販売規制ネットワークから強い警告を受けている。このキャンペーンは、指定距離を走ったランナーに無料ビールや飲み放題の権利を提供するもので、SNSを中心に拡散されていた。Khaosodの報道によると、違反した事業者には最大6ヶ月の懲役刑が科される可能性があると指摘されている。
「ランニングでビール無料」キャンペーンに規制当局が警告
タイで近年、健康志向の高まりとともに人気を集めていた「ランニングでビール無料」というキャンペーンに対し、酒類販売規制ネットワーク(ソークラーン)が明確な違法行為であるとして警告を発した。このキャンペーンは、参加者が3キロ、5キロ、または10キロの距離を走り終えた実績を提示することで、無料ビールやクラフトビールの飲み放題、さらにはピザなどの特典を受けられるというものだった。特に若者やランナーの間でSNSを通じて広く共有され、人気を博していた。
ソークラーン事務局長のティーラ・ワチャラプラニー氏は5月17日、このような活動はアルコール飲料管理法(2025年改正版)に抵触する可能性が非常に高いと指摘し、懸念を表明した。
アルコール飲料管理法違反の可能性
ティーラ氏によると、2025年11月8日に改正・施行されたアルコール飲料管理法は、アルコールによる社会への悪影響を減らすことを目的としており、特に販売促進活動に対する規制を強化している。この法律は、価格割引、抽選、イベントへの招待、訪問販売、飲酒競争といった従来のマーケティング手法(4P)による飲酒の促進を抑制する意図がある。
今回問題となっている「ランニングでビール無料」キャンペーンは、具体的に同法第30条第5項に抵触するとされている。この条項は、アルコール飲料を無料で提供したり、他の商品やサービスと交換したりすること、または一般市民をアルコール消費に誘引する行為を禁じている。
具体的に抵触する条項と罰則
ティーラ氏は、「何キロ走れば無料ビールや飲み放題の権利が得られる」という条件設定自体が、販売促進行為に該当すると説明した。例えば、「5キロ走ればクラフトビール飲み放題2時間無料、10キロ走ればそれに加えてピザ1枚無料」といったプロモーションは、明確に法律違反となる。
この法律に違反した場合、最長6ヶ月の懲役または1万バーツ(約5万円)以下の罰金、あるいはその両方が科される可能性がある。ソークラーンは、インスタグラム、TikTok、X、フェイスブックなどのSNSでこのような広告やプロモーションが展開されていないか、監視を続けているという。
健康活動とアルコールの組み合わせへの懸念
酒類販売規制ネットワークは、事業者が自店舗を宣伝したい気持ちは理解できるものの、アルコール飲料はタバコと同様に規制されるべき商品であり、他の商品のように自由なマーケティング活動は許されないと強調している。さらに、世界保健機関(WHO)の研究では、アルコールに含まれるエチルアルコールがタバコやアフラトキシン、加工肉と同じグループ1の発がん性物質であると報告されている。
特に、健康増進を目的とした活動とアルコールの販売促進を組み合わせることは極めて不適切であるとし、若者やランナーといった層をターゲットにすることは問題視されている。ソークラーンは、事業者が法律を知らない可能性も考慮しつつ、今後このようなキャンペーンを行わないよう注意を促している。また、一般市民に対しても、このような違法なプロモーション投稿を不用意にシェアしないよう強く呼びかけている。タイでの思わぬ犯罪に巻き込まれないためにも、市民はこうした情報に注意が必要だ。


