タイ政府の新たな共同支払い補助金制度「タイズ・ヘルプ・タイズ・プラス」に、開始数時間で2300万人以上が殺到した。この制度は生活費高騰に苦しむ国民を支援する目的で導入され、全国的な登録開始直後からシステムにアクセスが集中した。バンコクポストの報道によると、財務省は登録の殺到に対し、システムの安定性を確保しつつ、上限3000万人に達するまで登録を受け付ける方針を示している。
タイ全土で登録殺到、システムは一時高負荷も安定
タイ政府が新たに導入した共同支払い補助金制度「タイズ・ヘルプ・タイズ・プラス」は、登録開始初日から国民の圧倒的な支持を得ました。プログラム開始からわずか数時間で、2300万人以上が登録を完了。当局によれば、システムへのアクセスは一時的にピーク時で毎秒70万ユーザーという記録的なトラフィックを記録しましたが、初期の遅延の後、システムは迅速に回復し、安定性を維持しました。
このプログラムは、政府のモバイルアプリケーション「パオ・タン」を通じて月曜日の午前6時に登録が開始されました。財務省のラヴァロン・サンスニット事務次官は、国民の熱意が予想を上回ったと述べ、わずか30分で1000万人が登録したことを明らかにしました。午後2時までに登録者数は約2320万人に達し、プログラムの3000万人という上限に対し、約700万件の権利が残されている状況です。
生活費支援を目的とした補助金制度の概要
「タイズ・ヘルプ・タイズ・プラス60/40」と称されるこの制度では、政府が対象となる支出の60%を補助し、参加者が残りの40%を負担します。政府からの補助金は月額1000バーツ(約5000円)が上限とされ、参加者が毎月667バーツ(約3335円)を自己資金として追加することで、上限額まで利用することが可能です。特典は当該月中に使い切る必要があり、翌月への繰り越しはできません。
このプログラムは6月1日から4ヶ月間実施される予定で、参加者は合計で最大6667バーツ(約33335円)を支出でき、そのうち2667バーツ(約13335円)を自己負担することになります。財務省は、この取り組みが高止まりするインフレとエネルギー価格の中で、国民の生活費負担を軽減することを主な目的としていると説明しています。
国家福祉カード保持者への特別措置と事業者参加の促進
国家福祉カードの保持者に対しては、別途の措置が適用されます。彼らへの月額福祉支援は、6月1日から300バーツから1000バーツ(約1500円から5000円)に増額されます。これにより、最も経済的に脆弱な層への支援が強化されます。
また、当局は事業者に対し、専用のマーチャントアプリ「トゥン・グン」を通じて、この補助金制度への参加を呼びかけています。プログラムへの総参加店舗数は、間もなく100万を超えると予想されており、全国的な経済活動の活性化に寄与することが期待されています。
タイ政府がデジタルプラットフォームを活用した大規模な補助金制度を導入し、国民が殺到した背景には、長年の経済低迷とそれに伴う貧困、失業、格差の拡大という構造的な課題があります。特に、新型コロナウイルス感染症の影響で生活困窮者が増加した中で、政府による所得再配分政策や社会保障政策の重要性が高まっています。今回の制度は、国民の生活を直接的に支援し、消費を刺激することで経済の活性化を図るという、タイが直面する構造的課題への対応策の一つと言えるでしょう。
一方で、登録開始直後のシステムへのアクセス集中や、デジタルプラットフォームに不慣れな人々が銀行窓口に殺到したという事実は、タイにおけるデジタル化の急速な進展と、それに伴うデジタルデバイドの問題を浮き彫りにしています。政府が国民生活支援にデジタル技術を積極的に活用する姿勢は評価できるものの、全ての国民がその恩恵を受けられるよう、デジタルリテラシーの向上やアクセス環境の整備といった課題も同時に解決していく必要があります。


