タイ政府は、太陽光発電システムの設置における火災リスクと50万バーツ(約250万円)を超える消費者被害を受け、全国的な調査を命じました。これは、低品質な機器や不適切な電気工事に関する多数の苦情が寄せられたことによるものです。Bangkok Postが報じたところによると、首相府大臣は消費者保護委員会に対し、事実確認調査を迅速に進めるよう指示しています。
タイ全土で太陽光パネルの安全検査を強化
首相府のスパーマース・イサラパックディー大臣は、消費者保護委員会(OCPB)に対し、太陽光発電システムの設置業者に対する早急な調査を指示しました。消費者の苦情では、約束された電気代の削減効果が得られないだけでなく、機器の過熱、部品の溶融、焦げ臭い匂い、そして火災寸前の火花といった深刻な安全上のリスクが報告されています。
この動きは、ASEAN地域全体で再生可能エネルギーへの関心が高まる中、タイにおける太陽光発電導入の安全性と信頼性を確保するための重要な一歩となります。
製品ラベルの徹底検査とタイ工業規格
OCPBは、全国で販売されている太陽光パネル、インバーター、バッテリーなどの太陽光発電機器の製品ラベルを検査し、タイ工業規格(TIS)の認証要件に準拠しているかを確認します。スパーマース大臣は、製品ラベルが消費者が購入前に製品情報を確認するための重要なツールであると強調しました。特に生命や財産に直接影響を及ぼす可能性のある電気機器については、その重要性が増します。
消費者保護法に基づき、太陽光パネル、インバーター、バッテリーは「規制対象ラベル製品」に分類されており、事業者は正確かつ完全な情報提供が義務付けられています。
違反者に対する厳罰化
消費者保護法に違反した場合、販売業者には最高6か月の禁錮刑と10万バーツ(約50万円)の罰金が科せられます。また、製造業者または輸入業者に対しては、最高1年の禁錮刑と20万バーツ(約100万円)の罰金が科される可能性があります。この厳格な罰則は、タイ国内の消費者保護を強化し、不法行為を抑制することを目的としています。
当局は、太陽光発電設備の設置サービスを「契約規制事業」に分類し、太陽光発電機器を「特定規制ラベル製品」に指定することを検討しており、タイ工業規格協会や電力規制機関との連携を進めています。
不正な電気工事と火災リスクの詳細
苦情によると、一部の設置業者は電気システムを三相から単相に不正に変換したり、銅線ではなく安価なアルミ線を使用したり、適切なアースを設置しなかったりしていたとされています。これらの不適切な工事が、電圧降下、停電、そして火災リスクの増大を招いています。特にバンコクのような都市部では、集合住宅での設置も多く、安全対策が不十分な場合のリスクは計り知れません。
OCPBの予備調査では、一部の業者がオンラインでサービスを宣伝する際、契約書に機器の基準を明確に記載せず、消費者が設置前に製品品質を確認できないようにしていたことが判明しています。これはタイのオンライン取引における新たな詐欺手口として、消費者に注意を促すものです。
具体的な被害事例と専門知識不足の問題
バンコクのクリニック経営者やサラブリーのレストラン経営者など、複数の事業主から苦情が寄せられています。彼らは約束通りの電気代削減効果が得られなかった太陽光発電システムに、数十万バーツを費やしました。ある苦情者によれば、技術者は経験不足で、設置作業中にYouTubeのチュートリアル動画を見ていたとのことです。このような専門知識の不足は、タイにおける太陽光発電システムの設置品質に大きな懸念を抱かせます。
タイ政府は、これらの問題に対応するため、関連機関と協力し、再生可能エネルギー導入における消費者保護と安全基準の確立に努めています。


