タイの首都バンコクでは、今世紀末までに深刻な洪水に見舞われる可能性が指摘されています。カセサート大学の専門家らは、このリスクを軽減するため、都市全体を水が浸透しやすい「スポンジ・シティ」へと変革するモデルを提案しました。これはBangkok Postが報じたもので、気候変動への適応策として注目されています。
【バンコク】洪水リスクと「スポンジ・シティ」構想
近年、東南アジアのメガシティでは、急速な都市化と気候変動の影響により、交通渋滞や大気汚染に加え、大規模な洪水という都市問題が深刻化しています。バンコクも例外ではなく、学術フォーラムで専門家たちは、抜本的な対策がなければ今世紀末には都市が水没する可能性さえあると警告しました。カセサート大学の工学講師であり水資源ガバナンスシステム建築家であるコブキアット・ポンプット氏は、気候の不確実性により過去の気象データが将来の予測に役立たなくなっていると指摘。バンコクが従来の排水中心のアプローチから、水をより総合的に管理できる「適応型都市」へと転換するよう強く促しました。
都市を6つの機能ゾーンに分割する計画
コブキアット氏は、首都バンコクをリスクと土地利用に基づいて6つの機能ゾーンに分割する主要な提案を行いました。特に「早期行動ゾーン」として、東バンコクを貯留・分配エリア、西バンコクを水を吸収・滞留させる「スポンジ・シティ」エリア、そして北バンコク、特にクローン・プレムプラチャコーン運河沿いをボトルネック解消と排水効率改善のためのエリアとして即時行動を推奨しています。一方、ロムクラオやバン・クン・ティアンといった残りの3つのゾーンは、既存の都市密度と開発が進んでいるため、より大きな課題を抱えています。日本を含む国際機関もアジア地域の水資源管理とインフラ強化への支援を続けており、バンコクのこの取り組みは国際的な協力の機会にもなり得ます。
経済損失の削減と住民の安全確保
シミュレーションモデルによると、この「スポンジ・シティ」の概念を全ての6つのゾーンで実施した場合、洪水関連の経済損失を大幅に削減できると予測されています。介入がない場合、損害額は約490億バーツ(約2,450億円)に上るとされていますが、計画が完全に実行されれば、この額は約160億バーツ(約800億円)まで削減される可能性があります。また、このモデルは、大規模なゾーニングにより、1日あたりの降雨吸収能力を約100ミリメートル向上させ、洪水の発生を1〜2時間遅らせることができると示唆しています。これにより、住民は避難や準備のための貴重な時間を確保できるようになります。
既存インフラの統合と包括的見直し
コブキアット氏は、バンコクの問題はインフラの不足ではなく、統合の不備にあると強調しました。大規模な排水トンネルが存在するにもかかわらず、パイプネットワークが相互に接続されていないため、効率的な水流が妨げられています。単にパイプを追加するだけでは問題は解決せず、既存システムの連携が不可欠です。彼はまた、チャオプラヤ川下流域における9つの主要な洪水緩和計画について、当局が個別にではなく、気候変動の状況を考慮し包括的にプロジェクトを再評価するよう求めました。これは、持続可能な都市開発と気候変動へのレジリエンス強化に向けた重要な一歩となります。


