ホーチミン市が国際観光客の消費額向上を目指し、新たな戦略を議論しています。市観光局は、外国人観光客がより多くの費用を使うよう促すため、観光商品の多様化や支払いシステムの改善などを検討。VnExpressの報道によると、特に質の高い体験提供に注力する方針です。
ホーチミン市、観光客消費額増加へ戦略的アプローチ
ホーチミン市観光局は、国際観光客の平均滞在期間が短く、消費額が伸び悩んでいる現状を打破するため、複数の解決策を検討しています。市は、観光客がより多くの魅力を感じ、滞在を延長し、消費を増やすような革新的な観光商品や体験を提供することを目指しています。これは、ASEAN諸国が直面する観光客集中による課題や、地方経済の活性化という広範な文脈とも一致しています。
観光商品の多様化と高付加価値化
戦略の主要な柱の一つは、観光商品の多様化です。従来の観光名所巡りに加え、文化体験、医療観光、MICE(会議・報奨旅行・国際会議・展示会)といった高付加価値な分野への注力が検討されています。例えば、タイが「タイランド4.0」やBCG経済戦略で科学技術とイノベーションを推進しているように、ベトナムも観光分野で新たな価値を創造しようとしています。特に、ホーチミン市の豊かな歴史と文化を活かした体験型ツアーや、現代アート、グルメを組み合わせたユニークなナイトライフ体験の開発が急務とされています。
デジタル決済と夜間経済の活性化
国際観光客の消費を促進するためには、支払いシステムの利便性向上が不可欠です。デジタル決済の普及や、外国人観光客が使いやすい決済サービスの導入が議論されています。また、夜間経済の活性化も重要な要素です。夜市、ルーフトップバー、エンターテイメント施設の拡充を通じて、観光客が夜間も安全に楽しめる環境を整備し、さらなる消費機会を創出することを目指します。現在のホーチミン市の夜間経済はまだ発展途上であり、さらなる投資と工夫が求められています。
地域連携とインフラ整備
ホーチミン市単独での取り組みだけでなく、周辺の省との連携強化も重要な戦略です。メコンデルタ地方や南東部の省と協力し、地域全体で魅力的な観光ルートを開発することで、観光客の滞在期間を延長し、地方への経済波及効果を高めることを目指します。これは、タイが地方分権を進める中で地方経済の活性化を図ってきた歴史とも重なります。交通インフラの整備も、地域間のスムーズな移動を可能にし、より広範囲での観光を促進するために不可欠です。
課題と今後の展望
国際観光客の消費額向上は、単に観光客数を増やすだけでなく、持続可能な観光開発と地域経済の発展に貢献するものです。しかし、そのためには、質の高い人材育成、観光インフラへの継続的な投資、そして政府と民間セクターの緊密な連携が不可欠です。ホーチミン市は、これらの課題を乗り越え、アジア有数の国際観光都市としての地位を確固たるものにしようとしています。
ホーチミン市が国際観光客の「財布の紐を緩める」ことに注力する背景には、ASEAN諸国が共通して抱える観光産業の構造的な課題があります。多くの国で観光客数は増加しているものの、その経済効果が一部の主要都市や観光地に集中し、地方への波及が限定的であるという問題です。タイの事例でも見られるように、観光収益の地方分散は長年の政治課題であり、ホーチミン市もまた、単なる通過点ではなく、より深い体験を提供する目的地としての価値を高めることで、観光客一人あたりの消費額と滞在期間の延長を目指していると分析できます。
この動きは、在住日本人にとっても興味深い変化をもたらすでしょう。観光客向けのサービスが向上することは、質の高い文化体験や多様なグルメオプションが増えることにつながります。デジタル決済の普及は日常の利便性を高め、夜間経済の活性化は、これまで以上に安全で魅力的なナイトライフの選択肢を提供してくれるはずです。ホーチミン市が目指す「高付加価値な観光」は、在住者が日常的に享受できるサービスの質向上にも寄与すると期待されます。
- ベンタイン市場(Chợ Bến Thành): ホーチミン市1区。早朝から夜まで賑わう、お土産やローカルフードの宝庫。観光客向けの価格交渉も楽しい体験です。
- グエンフエ通り(Phố đi bộ Nguyễn Huỳnh): ホーチミン市1区。夜にはライトアップされ、週末は歩行者天国になる大通り。カフェやレストランが多く、夜間経済の中心地の一つです。
- サイゴンオペラハウス(Nhà hát Lớn Thành phố Hồ Chí Minh): ホーチミン市1区。フランス統治時代の美しい建築物。アオザイショー「A O Show」など、ベトナム文化を体験できる公演が人気です。


