ベトナム商工会議所(VCCI)が発表した2025年省競争力指数(PCI)において、ホーチミンとハノイがトップ圏外となり、地方政府のビジネス環境整備能力に課題が示されました。この指数は、各地方政府の事業環境構築能力と投資誘致力を評価するもので、VnExpressが報じました。
2025年省競争力指数(PCI)の評価基準変更と主要都市の順位
VCCIは、2025年のPCI評価において、従来の地方のビジネス環境測定から、民間セクターの発展エコシステムの評価へと焦点を変更しました。これは「行政は効率を生み出し、強力な民間企業を生み出すべき」という考えに基づいています。また、具体的なランキングの発表から、行政の質をグループ分けする形式に移行しました。
今年の評価では、PCIスコアが70.8点を超える「非常に良い」行政品質に達した省・市は一つもありませんでした。67.28点から70.8点の「良い」グループには、バクニン、ダナン、ハイフォン、フー・トー、クアンニンが名を連ねています。一方で、経済の中心地であるホーチミンは、フエ、フンイエン、タイグエン、カインホア、ランソンを含む12の地方自治体とともに「かなり良い」グループに分類されました。
ハノイとホーチミンの課題:行政コストと法的枠組み
VCCIは「平均」「比較的低い」「低い」グループの詳細なリストは公表していませんが、ハノイは57.49点で「比較的低い」グループに属することが判明しました。ハノイは、市場参入、透明性、非公式な費用、公正な競争、法的制度、そして創造型政府の6つの指標で全国平均を下回っています。ホーチミンも、非公式な費用、法的制度、創造型政府の3つの指標で平均を下回る結果となりました。
VCCIによると、特に創造型政府と公正な競争の指標において、地方間の大きな差が浮き彫りになっています。これは、一部の地方が公平な競争環境の構築と積極的な行政運営において大きな進歩を遂げた一方で、他の多くの地方ではまだ改善の余地が大きいことを示唆しています。
地方行政の成功事例と改革の方向性
「良い」グループの中で、バクニン省は、民間セクターの困難を解決する柔軟性、創造性、効率性を反映する「創造型政府」と、行政手続きの順守コストの指標でトップに立ちました。これは、手続き処理のスピードだけでなく、政策対応能力や企業への制度的信頼性の構築が評価されたことを意味します。ダナンは市場参入の指標で、クアンニン省は公正な競争と創造型政府の指標で高い評価を維持しています。ハイフォンは、9つの構成指標のうち7つでトップ10に入るなど、バランスの取れた行政品質を示しました。
2025年のPCI結果は、国内民間企業3,500社、外国直接投資(FDI)企業約590社、そして34の省・市における1,000以上の世帯事業を対象とした調査に基づいており、ベトナム経済における民間セクターの重要性が再認識されています。JICAの国別分析ペーパーでも、ベトナム政府が市場経済制度の改善、財政・金融改革、国有企業改革を推進し、産業競争力強化を図っていることが示されています。
民間経済効率指数(BPI)と政策遅延効果
VCCIのホー・シー・フン会長は、制度改革は正しい方向へ進んでいるものの、中央政府の政策設計と地方での実施能力との間に依然として大きな隔たりがあると指摘しました。2030年までに200万社の企業目標を達成するためには、「管理の考え方から連携の考え方へ、手続き負担の軽減から競争力創出へと転換しなければならない」と述べています。これは、世界銀行が経済成長、人間開発、財政運営を持続可能な形で実現するためには、地方の執行力強化が不可欠であると指摘している点とも重なります。
今年、VCCIは初めて民間セクターの発展とイノベーション能力を測定する「民間経済効率指数(BPI)」も公表しました。PCIの結果とは対照的に、ホーチミンとハノイはこのBPIでトップを占めました。特にホーチミンは5.67点で首位、ハノイが5.41点でそれに続きました。VCCIのダウ・アイン・トゥアン副総書記兼法制部長は、両都市の民間経済セクターにおけるイノベーション能力とガバナンス品質が全国トップレベルにあると述べ、世界的な大手企業だけでなく、中小企業にとってもビジネス環境を整備する必要性を強調しました。
VCCIの分析によると、2022年の行政品質(PCI)が2025年の民間経済効率に影響を与えており、政策には約3年の遅延効果があることが確認されました。これは、即座の結果を期待するのではなく、長期的な改革路線を堅持するための重要な根拠となります。ベトナム政府は、決議第66-NQ/TW号により、社会主義志向の市場経済を規律する法制度の近代化と整備を進めており、これらの改革が将来的に経済全体に波及することが期待されます。
今回のPCI結果は、ベトナムの地方行政が直面する構造的な課題を浮き彫りにしています。特に、ホーチミンやハノイといった経済大都市が「創造型政府」や「非公式な費用」といった指標で全国平均を下回ることは、中央政府の政策設計と地方レベルでの実行能力との間に依然として深い溝があることを示唆しています。これは、JICAの分析ペーパーが指摘する、市場経済制度の改善や産業競争力強化の必要性と直接的に関連しており、ベトナム経済全体の底上げには、地方行政の透明性と効率性の向上が不可欠です。
一方で、民間経済効率指数(BPI)でホーチミンとハノイがトップに立つという結果は、これらの都市が持つ潜在的な経済活力とイノベーション能力を明確に示しています。政策の遅延効果が約3年と分析されていることから、現在の改革努力が将来的に実を結ぶ可能性が高いと言えるでしょう。在住日本人や日系企業にとっては、地方行政の質が低い地域での事業展開には依然として注意が必要ですが、BPIの高さは、特にITやサービス分野における民間セクターの成長機会が豊富であることを示唆しており、長期的な視点での投資戦略を練る上での重要な情報となります。


