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ベトナム財務省、銀行口座情報提供義務化提案を撤回

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ベトナム財務省が、銀行に対し納税者の口座情報提供を義務付ける提案を撤回しました。これは顧客情報保護の観点からベトナム国家銀行の意見を考慮した結果、税務管理法草案から削除されたもので、VnExpressが報じました。

ベトナム財務省、銀行情報提供義務化提案を撤回

ベトナム財務省は、今年7月1日施行予定の税務管理法草案の策定を進めています。当初の草案では、銀行、電子ウォレット、決済仲介業者、国際カード発行元に対し、利用者の口座情報を税務当局に提供すること、さらに異常な取引が発見された場合には税務義務に関連して協力することを義務付けていました。

しかし、司法省に提出された最新の草案では、各方面からの意見を取り入れた結果、この規定が削除されました。これは、税収確保と顧客プライバシー保護のバランスを模索するベトナム政府の姿勢を示しています。

顧客情報保護と現行法の課題

ベトナム国家銀行(ガン・ハン・ニャー・ヌック)は、銀行や決済機関に情報提供を義務付けることは、顧客情報保護に関する既存の規制と抵触する可能性があると指摘していました。現行法では、銀行が顧客情報を提供できるのは、顧客の同意がある場合、または国家機関からの正式な要請があった場合に限定されています。

さらに、2025年に施行される税務管理法においても、信用機関や決済サービス提供者、決済仲介業者が税務当局に情報を提供する具体的な責任は明記されていません。これは、特にベトナムにおける金融機関の役割と顧客プライバシーの境界線が、まだ明確に定まっていない現状を示唆しています。

膨大な取引量と実務上の困難

また、決済関連法規には、決済サービス提供者が顧客の購入または利用する商品やサービスに関する情報を特定・収集し、統計として税務当局に提供することを義務付ける規定もありません。現在の決済システムは、毎日数百万件もの取引を処理しており、ベトナム国家銀行は、銀行が「未登録・未申告・未納税」の外国供給業者を自動的に識別するよう求めることは「非現実的」であるとの見解を示しています。

これは、グローバルなサプライチェーンの複雑化やデジタル経済の進展に伴い、膨大なデータの中から税務上の関連情報を効率的に抽出することの技術的・実務的な難しさを浮き彫りにしています。

過去のデータ提供と今後のベトナム税務行政

実は、新しい税務管理法が2025年末に施行される以前にも、税務当局は2020年政令および2019年税務管理法に基づき、銀行から1億2千万人以上の個人に関する銀行口座データの提供を要請していました。これには、口座を通じた取引、残高、個別の取引データなどが含まれ、納税義務の監査・検査を目的としていました。税務当局は、これらの口座情報の利用および保管において機密保持の責任を負っています。

今回の提案撤回は、過去の経験を踏まえつつ、より現実的でバランスの取れた税務行政の実現を目指すベトナム政府の姿勢を示唆しています。国際的な金融の透明性向上という潮流の中で、ベトナムも税収確保と国民のプライバシー保護という重要な課題に対し、慎重なアプローチを取っていると言えるでしょう。

ベトナムにおける税務行政のデジタル化と効率化への意欲は高いものの、同時に顧客のプライバシー保護との間でバランスを取る必要性が浮き彫りになりました。特に、急速な経済発展と国際的な金融取引の増加に伴い、税収確保と個人情報保護という二律背反の課題に直面しています。

この撤回は、ベトナム在住の日本人や日系企業にとって、銀行取引のプライバシーが当面維持されることを意味します。しかし、将来的には税務当局が別の形で情報収集を試みる可能性も残されており、国際的な税務コンプライアンスの動向には引き続き注意が必要です。

AsiaPicks 編集部
AsiaPicks 編集部
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