タイ政府がユネスコと連携を強化し、自然保護と持続可能な観光開発を推進する方針を打ち出しました。スチャート天然資源・環境大臣はユネスコ事務局長ハーレド・エルエナニー氏と会談し、世界ジオパークの昇格支援や海洋科学協力について協議しました。Bangkok Postが報じたところによると、特にコーンケンとウボンラチャタニのジオパークを世界クラスに押し上げる計画が進行中です。
タイ政府、ユネスコとの連携強化で自然保護を推進
タイのスチャート天然資源・環境大臣は先日、ユネスコ事務局長ハーレド・エルエナニー氏と会談し、ユネスコが推進する各種イニシアチブにおける協力を強化することで合意しました。協議の焦点は、ユネスコ世界ジオパーク、人間と生物圏(MAB)プログラム、そしてIOC/Westpac枠組みの下での海洋科学協力に及び、海洋管理や遺産影響評価も含まれています。この連携強化は、タイが「生物多様性国家戦略 2023-2030」で掲げる「自然と共生する社会」の実現に向けた重要な一歩と言えます。タイは国際的な枠組みを通じて自然資本の安定性を確保し、生物多様性の損失と気候危機に対応しようとする姿勢が鮮明です。
「高価値観光」で自然保護と経済発展を両立
スチャート大臣は、自然保護と観光管理のバランスを取る「高価値観光」の推進を表明しました。これは、観光客数だけを追うのではなく、観光によってもたらされる価値を高めつつ、自然環境への負荷を低減するアプローチです。具体的な取り組みとして、アンダマン海の海洋国立公園を一時的に閉鎖し、生態系の回復を促していることを挙げました。これは、日本の第五次環境基本計画やSDGs未来都市の取り組みにも通じるもので、海洋環境の保全、海洋保護区の設定、サンゴ礁をはじめとする脆弱な生態系の保全が重視されています。持続可能な観光政策は、自然景観の鑑賞・体験を主な観光資源とする地域にとって、環境保全と経済発展を両立させる上で不可欠な要素です。
コーンケンとウボンラチャタニのジオパーク、世界クラスへの昇格目指す
タイ政府は、ユネスコに対し、国内のジオパーク推進へのさらなる支援を求めています。現在、ユネスコ世界ジオパークとして認定されているサトゥーンとナコンラチャシーマの成功に続き、北東部のコーンケンとウボンラチャタニのジオパークも世界クラスへの昇格を目指しています。これらの地域は豊かな地質遺産を有しており、世界ジオパークに認定されることで、地域の自然・文化資源の保護と活用が進み、地方創生と観光収入増の両面で大きな期待が寄せられています。地域資源を生かした持続可能な観光は、SDGsの目標達成にも貢献し、地球温暖化対策など環境教育の機会も創出します。
タイ政府のユネスコとの連携強化は、観光立国としての持続可能性を追求する構造的な動きと捉えられます。単なる観光客誘致に留まらず、生物多様性国家戦略が掲げる「自然と共生する社会」の実現に向け、自然資本の保全を経済成長の基盤と位置付けている点が重要です。特に、気候変動や生態系破壊といった地球規模の課題に対し、国際的な協力体制を強化することで、タイの長期的な国家戦略を着実に実行しようとしていると考えられます。
この動きは、在住日本人や日系企業にも影響を及ぼす可能性があります。例えば、海洋国立公園の一時閉鎖は、観光ビジネスを展開する企業や、週末に自然を楽しむ旅行を計画する個人にとって、事前の情報収集の重要性を高めます。また、ジオパークの昇格は、新たな観光資源の開発や地域経済の活性化を意味し、関連する産業への投資機会や、地域に根差したビジネス展開の可能性を広げるかもしれません。


