タイ工業省は、オンライン・オフラインを問わず、国内に流通する不適合製品の徹底的な取り締まりを命じました。工業大臣は、国民の生命の安全とタイ産業の競争力強化を目的とし、サイバーセキュリティや環境に関する新たな国際貿易ルールへの対応を急ぐよう指示したと、カオソッドが報じています。
不適合製品の撲滅と国民の安全確保
2026年5月29日、ワラウット・シンラパーチャ工業大臣は、タイ工業製品規格庁(TISI/サムオー)を視察し、オンラインおよびオフラインで流通する不適合製品の厳格な取り締まりを指示しました。大臣は、粗悪品が国民の生活を脅かし、タイ産業を弱体化させると指摘し、特にブリーラム県で不適合ヘアドライヤーによる感電死事故が発生した学生の事例に触れ、国民の安全保護の重要性を強調しました。
また、大臣は「ONE MIND」政策の下、工業省傘下の全機関が連携し、消費者保護システムの強化と不適合製品の密売防止に効果的に取り組むよう促しました。
国際競争力強化に向けた新基準の導入
ワラウット大臣は、TISIに対し、現代経済に対応する基準の迅速な推進を求めました。特に、産業分野におけるサイバーセキュリティ基準「TIS 62443」の導入に加え、CBAM(国境炭素調整メカニズム)、カーボンフットプリント、ネットゼロ目標など、世界的な環境対策に関連する国際基準への対応を急ぐよう指示しました。これにより、タイ企業が厳格化する世界貿易ルールに迅速に適応し、国際競争力を維持できるよう支援する狙いがあります。
大臣は、「今日の国際貿易競争は、もはや価格だけでなく、標準、技術、安全性、持続可能性で争われている。タイがこれに適応できなければ、タイ産業は世界市場で不利になるだろう」と述べ、迅速な対応の必要性を強調しました。
AI活用によるオンライン監視と連携取り締まり
エーカナティット・ロムヤーノンTISI事務局長は、工業省の方針を全面的に支持すると表明しました。同庁は、2027年までにソーラーパネル、EVバッテリー、EV充電ステーション、自動車の側面・前面衝突試験など、安全性と環境に関連する製品を規制対象に含めることを目指しています。
不適合製品の取り締まりについては、AI技術を導入し、オンラインプラットフォーム上の不適合製品を検出する体制を強化しています。特に、ヘアドライヤー、延長コード、モバイルバッテリー、建設用鉄筋など、国民の生命や財産に影響を与える製品が重点的に監視されます。さらに、TISIは法執行機関と連携し、輸入業者、倉庫、販売店、オンラインチャネルに至るまで、サプライチェーン全体で検査と取り締まりを実施し、消費者保護を強化し、粗悪品をタイ市場から排除すると述べています。
タイ経済の持続的成長への貢献
TISIは、法律と承認システムの現代化も推進しており、リスク管理アプローチを導入することで、タイの標準システムが消費者保護、国内企業支援、そして長期的な国の競争力維持において重要な役割を果たすことを目指しています。
この政策強化は、タイ在住者や日系企業にとって、製品購入時の信頼性向上に繋がる一方で、サプライチェーンにおける品質管理の厳格化を意味します。特に、近年増加しているオンラインショッピングでは、安価な輸入品に不適合品が混じるリスクがありましたが、AIを用いた監視強化により、消費者保護が一段と進むことが期待されます。
背景には、グローバルな貿易環境の変化があります。JETROの報告にもある通り、国際貿易は単なる価格競争から、サイバーセキュリティや環境規制といった非価格競争へと移行しており、タイ政府はこれに迅速に対応することで、タイ製品の国際競争力を高めようとしています。これは、タイがデジタル経済への移行と持続可能な開発を両立させようとする構造的な動きの一環と言えるでしょう。


