オーストラリア政府は、有害な「永遠の化学物質」PFASを含む消火剤を販売したとして、米化学大手3M社に対し20億オーストラリアドル(約1,430億円)を超える賠償を求め提訴しました。この訴訟は、2024年5月28日に発表され、人体や環境への長期的な影響が懸念されるPFAS汚染に対する政府の強い姿勢を示すものです。ベトナムのニュースメディアVnExpressによると、これはオーストラリア政府がこれまでに提起した中で最大の訴訟となります。
オーストラリア政府、3M社を提訴
オーストラリア政府は、パーおよびポリフルオロアルキル物質(PFAS)を含む消火剤を販売したことを理由に、米国の多国籍企業3M社を提訴しました。PFASは、その分解されにくい特性から「永遠の化学物質」と呼ばれ、人、動物、そして環境に世代を超えてリスクをもたらす可能性が指摘されています。
オーストラリア政府は、3M社に対し20億オーストラリアドル(約1,430億円)を超える賠償を求めており、これは同国政府が提起した訴訟としては過去最大規模となります。
「永遠の化学物質」PFASとは
PFASは、耐熱性、防汚性、撥水性などの特性から広範囲で製造・使用されてきました。フッ素樹脂加工のフライパン、食品包装紙、防水衣料、化粧品、プラスチック製品などに利用されています。
しかし、この化学物質は環境中で自然に分解されず、生態系、飲料水、そして人間の体内に蓄積する性質があります。いくつかの研究では、PFAS汚染と肝臓の損傷、精巣がん、乳児の低体重など、人間の健康への悪影響との関連が指摘されています。
3M社の消火剤と政府の対応
オーストラリア政府は、全国28か所の国防施設で3M社の消火剤を使用していました。3M社は以前、この物質が取り扱いにおいて安全であり、生分解性で無毒であると保証していたとされています。
オーストラリアのミシェル・ローランド司法長官は、3M社がPFASの使用に関連する「環境への重大な悪影響」を示す自社の試験結果を隠蔽していたと非難しました。同氏は、今回の法的措置が非常に重要であると述べ、「賠償額は、この消火剤の保管と使用によって発生した、そして今後発生するであろう汚染の調査と管理にかかる費用を補填するためのものだ」と説明しました。
国防省のピーター・ハリール次官によると、同省はPFAS汚染問題の解決に13億オーストラリアドル(約1,260億円)を費やしており、その中には影響を受けた地域社会への4億800万オーストラリアドル(約390億円)の補償も含まれます。同省は20万トン以上の土壌と130億リットルの汚染水を処理しました。ハリール次官は、「我々はオーストラリア国民を代表して3M社を提訴している」と強調しました。
3M社の反論と過去の訴訟
3M社はこれらの申し立てに異議を唱え、オーストラリアでPFASを製造したことはなく、該当製品の販売を20年前に同国で中止したと述べています。
同社は過去にもPFAS汚染に関連して数千件の訴訟に直面しています。2023年には、米国の複数の公共水道システムとの間で、PFASによる水質汚染に関する請求を解決するため、103億米ドル(約1兆6,200億円)の和解に合意しました。


