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ベトナム、所得税控除拡大で高所得層の負担軽減へ

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ベトナム財務省は、所得税法改正案を政府に提出し、月収2,863万ドン(約17.2万円)を超える高所得者のみを課税対象とする新たな提案を行いました。この改正案は、医療費や教育費の控除額を大幅に拡大することで、国民の税負担軽減を目指すもので、VnExpressが報じています。

ベトナム、所得税控除拡大で月収2,863万ドン(約17.2万円)超から課税へ

ベトナムの財務省は5月19日、個人所得税法に関する改正案を政府に提出しました。この提案の核心は、医療費と教育費に対する家族控除額の具体的な規定を設けることで、納税者の実質的な税負担を軽減することにあります。これにより、月収が2,863万ドン(約171,780円)を超える層のみが所得税の課税対象となる見込みです。

この税制改正は、ベトナムが長年抱える経済格差問題や生活費の負担増加に対応するための重要な一歩と位置付けられています。特に、教育や医療といった基礎的なサービスへのアクセス格差は社会的な課題であり、今回の控除拡大は、これらの分野への支出を支援し、国民の生活水準向上に寄与することが期待されています。

医療費・教育費控除の詳細と対象者

提案された改正案では、納税者は医療費および教育・研修費として、年間最大4,700万ドン(約282,000円)の控除を受けることができます。具体的には、国内の医療施設での診察・治療費は年間2,300万ドン(約138,000円)を上限とし、国内の教育・研修機関での費用は年間2,400万ドン(約144,000円)を上限としています。

これらの控除を受けるためには、正式な領収書や証明書が必要となり、医療費については、保健省の規定に従った診療費明細書も追加で求められます。例えば、扶養家族が1人いる納税者がこれらの医療費と教育費の控除を最大限に活用した場合、年間で最大3億730万ドン(約1,843,800円)、月額換算で2,863万ドン(約171,780円)もの控除を受けることが可能になります。これは、納税者自身の控除1,550万ドン(約93,000円)/月、扶養家族1人分の控除620万ドン(約37,200円)/月、そして医療・教育費の控除を合計した金額です。これにより、月収がこの金額を超えない限り、所得税は課されません。

国民の平均支出と控除額の比較、税収への影響

国民生活水準調査のデータによると、2024年の1人当たりの年間平均医療費は350万ドン(約21,000円)、教育・研修費は960万ドン(約57,600円)となっています。財務省の試算では、納税者本人と扶養家族1人当たりの年間支出は、医療費が約2,000万ドン(約120,000円)、教育・研修費が約2,100万ドン(約126,000円)とされています。

今回の提案による医療費の最大控除額は平均支出の約2.3倍、教育・研修費の最大控除額は平均支出の約2.5倍と、非常に手厚い内容となっています。これにより、納税者の税負担は大幅に軽減される見込みですが、一方で国家予算の歳入は年間約7兆6970億ドン(約461.8億円)減少すると試算されており、財政への影響は避けられないとされています。

改正の背景と今後の見通し

この控除規定は、昨年国会で改正された所得税法に新たに追加されたもので、国民の医療・教育コストを考慮したものです。ベトナムでは、教育や医療へのアクセスが所得層によって異なるという課題が指摘されており、今回の税制改正は、こうした格差の是正にも繋がる可能性があります。また、西南学院大学経済学部が指摘するように、社会の変動を正確に理解し、その改善に積極的に参加する動きの一環とも言えるでしょう。

この政令は、2025年の所得税法と整合させるため、7月1日からの施行が予定されています。今回の改正は、ベトナム政府が国民の生活負担軽減と社会保障制度の充実を目指す姿勢を示しており、今後のベトナム経済や国民生活にポジティブな影響を与えることが期待されます。

今回のベトナムの所得税法改正案は、国民の生活負担、特に医療費や教育費といった基礎的支出への支援を強化する構造的なアプローチと言えます。ベトナムでは急速な経済成長の裏で、家計債務問題や所得格差が深刻化しており、教育や保健医療へのアクセス格差も社会課題として認識されています。この税制改正は、安易な国債発行に依存せず、税制を通じて直接的に国民の購買力と生活の安定を図ろうとする政策的な意図が読み取れます。これにより、国民の消費を刺激し、ひいては内需主導の経済成長を促す可能性も秘めています。

在住日本人や日系企業にとって、この改正は高所得者層の税負担軽減という形で直接的な影響を及ぼす可能性があります。特に、ベトナムで働く高給与の日本人駐在員や現地採用者にとっては、手取り収入が増加する朗報となるでしょう。また、日系企業が優秀な人材をベトナムで確保する上でも、従業員の税負担軽減は福利厚生の一環として魅力的な要素となり得ます。企業側は、この税制変更を考慮した給与体系の見直しや、従業員への情報提供を検討する必要があるかもしれません。

AsiaPicks 編集部
AsiaPicks 編集部
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