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チョンブリ不動産市場、在庫過剰で販売長期化

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タイのチョンブリ県不動産市場で在庫が過剰となり、販売の長期化が深刻な問題となっています。特に工場閉鎖の影響で販売不振が顕著で、一部地域では完売までに最長58ヶ月を要する見込みだとPrachachat.netが報じています。同報道によると、パタヤは観光業の好調により比較的堅調な推移を見せています。

チョンブリ県の不動産市場概況

チョンブリ県は、バンコク首都圏に次ぐタイ第2の経済圏として、行政、観光、産業の中心地です。特にタイ政府が推進する東部経済回廊(EEC)の中核地域に位置しており、国際協力銀行の資料にもあるように、産業構造の多様化と高付加価値化が期待されています。このため、チョンブリ県の不動産市場、特にパタヤは他の県に比べて依然として注目度が高い状況です。

2025年末時点で、チョンブリ県では1,842件の住宅プロジェクトが進行中で、総戸数は304,294戸、総額は9,522億500万バーツ(約4兆7,610億円)に上ります。これはバンコク首都圏に次ぐ規模です。

地域別の供給と在庫状況

チョンブリ県内の各地域では、それぞれ異なる不動産市場の状況が見られます。最もプロジェクト数が多いのはムアンチョンブリ地区で426件、総戸数61,201戸、総額1,296億3,200万バーツ(約6,481億円)です。しかし、販売中のユニット数が最も多いのはパタヤの海岸沿い地区で94,038戸、次いでムアンチョンブリ地区が61,201戸となっています。

現在販売中の在庫ユニット数を見ると、ムアンチョンブリ地区が11,376戸と最も多く、次いでパタヤの海岸沿い地区が8,550戸、パタヤの丘陵地帯が4,749戸と続きます。販売待ちのユニットの総額では、パタヤ海岸沿い地区が492億6,100万バーツ(約2,463億円)と最も高く、これは1戸あたりの平均販売価格が約393万4,000バーツ(約1,967万円)と他地域より高額であるためです。

販売速度の地域差と長期化

不動産の販売速度には地域差が大きく出ています。最も販売が好調なのはレムチャバン地区で、月間販売率は全ユニットの3.1%を占めています。このペースだと残りの在庫が完売するまでに約32.3ヶ月かかると見込まれています。一方、最も販売が低迷しているのはボーウィン地区で、月間販売率はわずか1.7%です。この地域では、残りのユニットが完売するまでに約58.7ヶ月(約4年11ヶ月)を要すると予測されており、長期的な在庫解消が課題となっています。

コンドミニアムが市場を牽引も、一部タイプは苦戦

チョンブリ県で販売されている主要な不動産商品は、総ユニット数304,294戸のうち、コンドミニアムが150,841戸と約50%を占めています。次いでタウンハウスが73,428戸、一戸建てが42,818戸です。販売済みユニットの大半もコンドミニアムであり、月間販売率も2.9%と他の商品(タウンハウス1.8%、一戸建て1.9%)より速く、在庫解消まで約34.1ヶ月と見積もられています。

しかし、価格帯別に見ると苦戦しているタイプもあります。ムアンチョンブリ地区やバンセーン地区では、200万~300万バーツ(約1,000万~1,500万円)のタウンハウスの販売が特に振るいません。パタヤの丘陵地帯やサッタヒープ地区では、500万バーツ(約2,500万円)を超える高価格帯の一戸建てやコンドミニアムの販売も鈍化しており、市場の多様なニーズに対応しきれていない現状がうかがえます。

工場閉鎖と雇用問題が市場に影を落とす

チョンブリ県の住宅市場が全体的に減速している背景には、大手工場の国外移転や閉鎖が大きく影響しています。これにより多くの労働者が職を失い、住宅需要が低迷しています。国際貿易投資研究所の分析にもあるように、外国市場でタイ企業が生き残るための課題や、中国企業の台頭による影響も指摘されており、産業構造の変化が不動産市場に直接的な影響を与えていると言えるでしょう。また、中国系工場が以前ほどタイ人を雇用しなくなったことも、現地経済に影響を与えています。

一方で、パタヤのような観光地では成長が続いており、ソポン氏(タイ不動産評価情報センター会長)は「パタヤの将来は全体的に他の地域よりも良い」と結論付けています。

タイのチョンブリ県不動産市場の現状は、タイ経済が抱える構造的な課題を浮き彫りにしています。東部経済回廊(EEC)政策による高付加価値産業の誘致が進む一方で、伝統的な製造業の工場閉鎖や国外移転が雇用に打撃を与え、それが住宅需要の減退に直結していることは、タイの産業転換期の難しさを示唆しています。特に、かつて「チャイナ・プラスワン」戦略で多くの日系企業が進出した地域で、中国企業の台頭や人件費高騰が新たな課題として浮上しており、タイ経済の多様化と競争力向上が喫緊の課題であることがうかがえます。

この不動産市場の停滞は、チョンブリ県に在住する日本人や日系企業にとって、住宅戦略や投資判断に影響を与える可能性があります。特に、コンドミニアム市場の在庫過剰は、賃貸価格の競争激化や売買価格の下落を招く可能性があり、移住者にとっては住居費を抑えるチャンスとなるかもしれません。しかし、工場閉鎖が続くエリアでは、長期的な人口減少やインフラ維持の課題も考慮に入れる必要があり、安易な不動産投資はリスクを伴うでしょう。現地の経済動向や産業構造の変化を注意深く見極めることが、賢明な意思決定のために不可欠です。

AsiaPicks 編集部
AsiaPicks 編集部
タイ・ベトナム・インドネシアの最新ビジネスニュースを日本語で毎日配信。現地メディアの一次情報をもとに、日系企業・駐在員の意思決定に役立つニュースを厳選してお届けします。
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